rainbow
□月影ロマネスク
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彼女の瞳の中で、星が揺らめく。
寒空の下、吐息が白く染まる。頬は紅く染まる。
「あ、」
視線の先には流れ星。
須臾の合間に消えてしまう。
白が、赤を引き連れて紺を侵食していく。空の一部が切り取られたかのようだった。
薄れていく星の光。
半分になった月は沈んでいき、太陽が東方から顔をちらりと覗かせている。
消えた星は何処へ行くのだろうか。分かりきっているからこそ見失っているものがある。
無言で握られた手は氷のように冷たかった。
「中へ戻りましょう」
私達の居場所へ。