histoire

□お姉さまへ
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少女時代というものはいつだって儚く散りゆくものなのです。
嗚呼、無常観。
ショコラティックな諸行無常。甘いお菓子で彩り添えてもすぐに溶けて亡くなってしまうの。
木苺一つまみ、姫林檎に桃色のムースを加えて。
永遠に留めておくには透明な氷も必要です。氷の国の冷凍漬けお姫様。
少女時代というものはいつだって儚く散りゆくものなのです。
ですから、お姉様、私は貴女の美しさを何時までも保っていたかった。貴女が数年後に熟れて腐ってしまわぬように。氷漬けの姫にして差し上げたのです。嗚呼、なんて綺麗な指でしょう。青白い光沢はこうも私を魅了する。
凍った瞳は永遠に開きません。えぇ、それでいいのです。
お母様のような似非の若さなど下らぬもの。そんなものは溝に捨てて世が枯れるまで藻と共に漂えばいい。ただ酔えばいい。嗚呼汚い汚いキタナイヮ。

白雪姫と呼ぶべきでしょうか。
毒林檎を喰べてしまった美しい少女。
魔女は、本当は、貴女に恋をしてしまっただけなのよ。
哀れなちょうちょ。

學びなさい、學びたまえ少女よ。

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