*ao-ex ss*

□愛の起源
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いつもと同じ夜だった。
学校に行って授業を受け、塾に行って教鞭をふるい、課題と仕事をこなし、兄さんが作っておいてくれた夜食を食べて・・・。

寝ようと部屋に帰ると、いつもは兄さんのいびきが響く部屋がやけに静かなことに気付く。ベットの上を見れば兄さんが真面目そうにヘッドフォンで音楽を聴いていた。

「(珍しい)」

音楽なんてほとんど聴かないくせに、歌詞カードまでしっかりと握り締め目を走らせていた。

「(僕の授業もあれくらい真面目に受けてくれればいいんだけど)」

ため息混じりに兄を見つめるがこちらに気がつく様子もない。音楽に集中するあまり僕が部屋に入ってきたことすら気がついていないのだろう・・・。

「・・・兄さん」

邪魔をするのは忍びない反面、自分にすら気がつかないのは癪に障る。

「兄さん!」

今度は少し大きめの声で呼びかける。返事はない。

「っ!兄さん!!」

自分でもらしくないと思う。怒鳴るように呼びつけ、ヘッドフォンを頭から奪い取っていた。

「えっ!」
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