*ao-ex ss*

□愛の起源
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「ゅき・・・お?」

いつもみたいに「何すんだよ!?」ってキレながら掴み掛かってくると思ってたけど、結果は真逆のものだった。
兄さんは一筋の涙を零し、泣いていた。

「っ!ゴメン!どこか痛かった!?」

すぐさま自分がやった行為を反省する。怒鳴ったことにビックリしたのか?それともヘッドフォンをどこかに引っ掛けて怪我でもしたのか?
僕がオロオロしながら様子を伺うと、兄さんは「大丈夫だ」と言って涙を拭った。目にゴミが入ったと言い訳しながら。

「嘘つくなよ!!」

僕は兄さんの肩を掴みながらまた怒鳴っていた。自分らしくない言ったが、それは兄さんも同じだった。何故僕の前でこんなにも殊勝な態度をとるのだろう。

「雪男?」

本当にらしくない。
涙が零れてきた。まるで涙腺が壊れたみたいにボロボロと。

「にぃさん・・・」

苦しかった。僕は兄さんを愛してる。
自分の気持ちが涙として溢れ出てきたようだった。

「雪男、大丈夫だから」

兄さんは僕を抱きしめながら、優しくそういってくれた。いつもからは考えられないくらい優しい兄さんが、これほど憎らしく思えるなんて僕はきっと頭がおかしいんだ。
いっそ放っておいてくれたら、涙なんて見なければ、こんな風に思いが爆発することもなかったのか?
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