三題話

□スプリンクラー×時計×瓦
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ぷしゅぁあぁあああ。

スプリンクラーから出される水が、容赦なく体の熱を奪う。
それでも体感温度は下がることなく。
むしろ、蒸し暑くなるばかりで。
一酸化炭素のせいで動けなくなった体で思う。

俺、死ぬんだ。
なんだよ、スプリンクラー意味ないじゃん。
でも、死ぬのもあんまり嫌じゃないかな。
彼女の下に行けるからか。
あれ、“下”ってなんだ?
死んだような言い方するなよ、自分。

…いや、ちがうか。
やっと認められたのか。
彼女が事故で、死んだことを。

俺の中の時計が、あの時からやっと針を進め始めたらしい。
最早水か涙かわからないものが盛大に俺の頬を濡らしたところで。

ガラリ。
焼けた天井が瓦ごと落ちてくる音を耳が捉えた。

最期に見えたのは、崩れた天井の穴の向こうに在る、
真っ赤でキレイな空だった。

今、会いに行くよ。



→あとがき
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