GOTH -Feat.NISHI-

□GOTH 夏ノ夢ノ夜
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待ち合わせ通り、
松坂は10時にマックへやって来た。


まァ、来なかったらソッコー殺すつもりだったが。





松坂はイメージ通り私服も漆黒で

コイツだけモノクロの世界から来たんじゃないかと思った。



当の俺は

パーカーの下に
念のためガンツスーツを着ていた。



フードを被っていれば
スーツを見られて怪しまれることはない。




松坂も特に気にしている様子は無かったが



「意外にゴツい靴が好きなのね。」

と言った。





俺は答えなかった。










テイクアウトでチーズバーガーのセットを購入して

俺達は電車に乗り込んだ。



心地好い揺れの中

コンクリートに囲まれた町並みが流れていく。


俺達は向かい合って座っていたが

何を話す訳でもなく、

俺は手帳を見ていたし
松坂は昨日貸した本を読んでいた。





傍から見れば
俺達は付き合っているように見えるのだろうか。




ちょうど真横をカップルが通り過ぎる。

金髪の二人組で
いかにも馬鹿っぽそうだ。

見てるだけでヘドが出る。




マージ勘弁。







「あァいう腐った野郎こそ、殺されるべきじゃねェ…?」



俺の独り言に
松坂は同意を示して頷く。


チーズバーガーの袋を破いて
いかにも腹立たしい様子でそれにがっついた。



「ああはなりたくないわ…」



眉を潜めて松坂は言った。


コイツに限ってそれはないだろうと思い、
俺は喉を鳴らして笑った。




現実世界でこんなに面白い奴に逢えるなんて思わなかった。




間もなく電車が目的の駅に到着するらしい。


車内のアナウンスがやけに大きく聞こえて
俺はそれが不快に思えた。




それが
松坂と一緒にいる空間を侵された気がしたからだなんて

口が裂けても言えなかった。
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