GOTH -Feat.NISHI-
□GOTH 夏ノ夜ノ夢
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手帳に書かれた山のうち、
まだ死体が遺棄されていない山は一つしかなかった。
スーツの脚力を利用して
ビルや民家の屋根、電柱を足場にして
俺は山のふもとのロープウェイまでたどり着いた。
だが
生憎今日は休業日だった。
これなら犯人も松坂をここに連れて来ることは出来ない。
他に登山口でもあるかと探したが見当たらず、
俺はロープウェイ乗り場を後にした。
時刻は7時30分を回った。
夕闇に街が飲まれていく。
再度手帳を確認すると
雨粒が手帳を濡らし
滲んで文字が見えなくなった。
松坂が手帳を拾ったのは
あの喫茶店。
俺の足は
知らず知らずのうちに
通学路に向かっていた。