GOTH -Feat.NISHI-

□幻影ヲ追ッテ
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ミッションが終わるなり、


俺は早々に着替えてマンションを出た。





タクシーを捕まえて
すぐに松坂の家に向かう。




保険証は言われた通り、和室にあった。





再びタクシーに乗って病院に着いた時には



松坂は半ばぐったりした様子で
病院のソファーに座っていた。








右腕は包帯で巻かれている。





近付くとすぐに顔を上げて

「もうすぐ呼ばれると思う」と呟いた。





生気のない声だった。





黒髪はだらりと垂れ下がり

日焼けなど疎遠に思われる白い頬は
もはや青白くて血の気がない。





しばらく見ない間に

少し痩せたのか、頬がこけている。







「松坂さん、松坂みゆさん。」









立ち上がろうとした松坂から財布を取り上げてカウンターに向かい、

会計を済ませる。








ソファーに戻って財布と保険証を返すと

松坂は小さく「ありがとう」と言った。







「家まで送る。…歩けるか?」


「えぇ、平気。歩けるわ。」


「じゃ、行くぞ。」







病院を出ると


松坂は以前と同じように

俺の一歩後ろを
何も言わずについて来る。










「……松坂。」


「何。」







このぶっきらぼうで無愛想な返事も


今は何処か愛らしい。






「俺さ




公安直属の戦闘員なの。

GANTZッて名前の。」





「……うん。」






「大阪とかイタリアとか回ッて、訓練しに行ッてた。



公安直属の極秘部隊だから

学校とかは俺がいなかッた理由を知らねェ。」




「………そうね。」













松坂は落ち着き払った様子で


俺の話に耳を傾けていた。







一呼吸置いてから

俺は話を続けた。
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