GOTH -Feat.NISHI-

□GOTH 夏ノ夜ノ夢
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濡れた通学路をステルスを解かずに走った。



間もなく着いたそこでは

ちょうどマスターが店の鍵を閉めるところだった。




ステルスを解除して

マスターの腕を掴んだ。




「おや、君は松坂さんの友達だね…」



優しげに微笑みを向けるマスターに

俺は手帳を見せた。





「…これ……アンタのだよな……?」









途端に


微笑みに冷たさが加わる。




マスターは鍵を開け直し

俺を中に招き入れた。





無言のまま


俺は念のためにXガンに手をかけた。















カウンター席に通され


俺とマスターは向かい合った。






「水性ペンで書いたコレ……濡れて中が読めなくなった。

だから……アンタは外に手帳を落としたが、中は濡れてて読めないと思った。


犯行がバレてないと考えたんだ。

……………違うか?」






マスターはゆっくり頷いた。






「水口を見に行ったよ、松坂と。


センスはある。松坂も感心してた。」




「嬉しいね、そう言って貰えると。」







マスターはコーヒーを煎れた。


カップに注いだところで

俺は「結構です」と断った。



もう一つ並べられていたカップが
戸棚に仕舞われる。





「……松坂は、何処だ。まだ殺してねェだろ。」






マスターは静かに振り向いた。



目は閉じられている。





そして


再び開いたその瞳には



俺と同じ



殺戮に対する歓喜を帯びた光が宿っていた。










「………この建物の裏に、小さな物置がある。


まだ生きているはずだ。」







マスターはカウンターを出て

店を出ようとした。




俺も後に続く。








夕立の中を


マスターは歩き去って行った。





それを追おうとは思わなかった。















俺は店の裏に回った。







言われた通り、


木造の物置小屋があった。
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