GOTH -Feat.NISHI-

□幻影ヲ追ッテ
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「………地球さ、



終わンだよね。」












「………終わる?」












松坂は訝しげに首を傾げる。


それにあわせて

漆黒の髪が彼女の頬にかかった。










「そ、終わンの。


人類滅亡。」







「隕石でも落ちるの?」



「さァな、そこまでは分からない。」







「………そう。」










松坂は冷静だった。



騒ぎ立てることもなく

平然と

俺の話に耳を傾けていた。






時計は間もなく12時を示そうとしていた。














「……西君。」



「何。」










青白く照らされた松坂の輪郭はぼんやりとしていて



自分が復活したことを忘れさせるような、

今、自分が現世に似せたあの世にいるのではないかと錯覚させるような、





不思議な感覚を呼び起こした。









「私は










あなたが帰ってきてくれて、








あなたが助けてくれて、















……嬉しかった。」

















消え入りそうな声と


薄れていきそうな彼女の体を、












気付いた時には



自分の腕の中に収めていた。















「………おかえりなさい。」









腕の中で松坂が呟く。




背中に左腕が回される。








包帯をした右腕には触れないように


俺は松坂を再び抱き返した。




















「………………ただいま。」


















End.
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