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□魔法
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誰だって、言いたくない事ってあると思うんだ。
どんなに仲良しでも、親でも、愛する人でさえも。
心の中に閉まっちゃう。
人は、それぞれ色々あるからさ。
俺だってあるよ。
誰にも言えない事。
もちろんドンへにも…
だけど俺は、自分からは聞かない。
でももし、心の中がそいつで支配されそうになったらいつだって手を差し伸べるよ。
話してくれるなら、ちゃんと話も聞くし
お前がどこにも行かないように、強く抱きしめるんだ。
絶対離さないよ。
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深夜1時を回ろうとしていた。
俺は、もう仕事の疲れで限界だった。
今日は、すぐに寝れそうだ。
そう思い目を閉じた。
すると、「ガチャッ」と俺の部屋のドアが開いた。
真っ暗い俺の部屋の中へ誰かが入ってきた。
俺はすぐドンへだとわかった。
いつものドンへだったら、「ヒョクー」と甘えるような口調で俺のベットに潜りこんでくるが、
今日のドンへは違かった。
シーンとした部屋に、俺が寝てるベットの前で立ち尽くしてる感じがした。
俺は、すぐに察した。
今は、声をかけちゃいけない。
目を開けてはいけないと。
さっきまであんなに眠かったのに、ドンへの事が気になって目が覚めてしまった。
でも、俺は寝てるフリをしていた。
するとドンへは、俺の上に覆い被さってきたのがわかった。
そして、泣きながら
「ごめん…今日だけ…許し…て、ごめ…ん…」
そう言いながらドンへは、
何度も何度も俺の唇に触れる。
ドンへの涙がポツポツと俺の頬に落ちる。
苦しそうなのに、何度も何度もその行為は繰り返された。
どのくらいたったのだろう…ドンへの唇が突然離れた。
そのままドンへは、部屋を後にした。
途中、俺はもう目をあけてお前を思いっきり抱き締めてやりたいって思った…それぐらい俺も苦しかった。お前を見てられなくてな。
でも…それは、できなかった。いや、してはいけないってわかった。
ドンへも俺が寝てないのわかってたから、何度も謝ったんだよな。そうだろ。
なあドンへ、これでお前の心が少しでも満たせるのであれば
いつだって俺は、お前の力になるぜ。
そう魔法のように。
それでお前の心を軽くしてやりたい。
明日朝一、お前を起こしにいくよ。
お前は、いつも通りのドンへに戻ってるだろうけど。
そうだな…抱き締めて今度は、俺から何度も優しいキスをしよう。
1回1回願いをこめながら。
心が軽くなりますようにと。