犬かご

□恋焦
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俺は木の上から降りて、駆け寄ってくるかごめを見た。


「どうしたんだよ、んな急いで。」


「良い場所、見つけたの!」


「は?なんの…」


「いいから来てっ」


怪訝そうにしている俺の手を取り、かごめが早歩きで何処かへと向かう。


「どこ行くんだ?」


「ふふっ、内緒よ」


その言葉に首をかしげながらも、そんなかごめが愛しいと思った。



「ここ!」


上を仰げば、そこには満開の桜が俺たちを待っていた。


「へぇ…」


桜なんていままで気にしたこともなかったが、戦いのことなど考えずに見ていると、確かに心が落ち着く。


ま、隣のコイツのおかげでもあるわけだが。


「楓ばあちゃんに教えて貰ったの。すごく綺麗だったから、犬夜叉と一緒に見たいなって思って」


…馬鹿野郎。


その嬉しそうな顔は


「…反則だろ…」


「ぇ?何?」


「いや、なんでもねぇ」


するとかごめは、俺の顔を覗き込んだ。


「気にいってくれた?」


答えなんて、決まってる。


「…あぁ。」


かごめがいるしな、という言葉は言わないでおく。


しばらく、手を繋いで桜を眺めていた。


「そろそろ、帰ろうか?犬夜叉」


「おう。」


空白の三年間、俺は魂が抜けているような状態だった。


おまえがいなくて、


おまえが思い出になってしまいそうで。


でも、今確かに


おまえはここにいるんだな。


かごめの温もりを確かめるために、俺は少しだけ繋いだ手に力を込めた。




***end***

犬かご初書きです。
短い…
犬夜叉視点のほのぼのにしてみました。
文才の無さは突っ込まないでくだs((


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