世界一初恋

□ 「紡がぬ想い」トリ→チア
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最近千秋に彼女ができた

「なぁトリ〜、デートってどこ行けばいいと思う?」
千秋は隣を歩きながら聞く

だが羽鳥から答えが返ってこない

「…?トリ‥?」

「…‥そうだな、映画とかいいんじゃないか?」

名前を呼ばれハッと我に返り求められたら答えを返した

「映画か〜何見よう…」
小さく唸り悩みながら言う

「何見るかは自分で決めろよ?」

「分かってるっての!」

ここ最近はこんな会話や相談ばかりで正直この気持ちを偽るのに苦痛を感じていた

"好き"という気持ち偽ることに…

今もこれからもこの気持ちを伝えるつもりはない

だけど

「はぁ〜やっぱ俺、トリがいないとだめだなぁ」
机に頬杖をつきそう言う千秋

その無自覚な一言一言が気持ちを増幅させていく

「俺にいつまで世話をさせるつもりだ‥?」

「え〜いいじゃん別に」

「よくない、それより彼女とはどうなんだ?」

話を変えようとふるが話題はそれしか出てこなかった

「つき合うとか俺初めてだけど、うまくいってるよw」

少し照れ臭そうにでも楽しそうに笑うその表情に自分でも分からない感情が込み上げて来てガタリと勢いよく席を立った

「…‥やってない課題思い出した」
教室を出ようと荷物を手にした

「えぇーせっかくかぶってる授業なのに」
残念そうに声をあげる

「悪い‥デート頑張れよ」

「おうw」

返事を聞きすぐ教室を後にした

そして誰もいない廊下の壁に背を預け手を握りしめる

「…ッ…‥」

たった二言の言葉を紡ぐことは許されない

〜END〜

あとがき

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