ぬらりひょんの孫×薄桜鬼
□第伍幕
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“また連れ出してやるさ”
そんなの信じてなかった。
だって、ここは吉原。
花魁でもない吉原の小娘と交わした約束だもの。
なのに…
「またですか;?鯉伴様」
『;;』
毎夜やって来る。
首無さんの呆れた声に申し訳なくなる。
「蝶鈴様もお疲れになってしまいますよ」
『あの…首無さん;;』
「はい」
『様…は、ちょっと;;』
「そうはいきません。蝶鈴様は大切なお方なんですから」
『私にとっては鯉伴様の方が大切な馴染み様なのですが…;;』
こうは言っても、首無さんを含め奴良組の皆さんのほとんどは聞いてくれない。
『…ぁ』
ふと見下ろした場所は、私の家。
こんな時刻なのに灯りが灯してある。
「蝶鈴の家か?」
『あ、はい』
「こんな時刻まで起きてるんですか?」
『…佐助が起きたんだと思います…』
「佐助?弟か?」
『はい』
「寄って行くか?」
『…』
会いたい。
でも、こんな遅くに出歩いていると知ったら、母様に心配をかけてしまう。
『…いえ。お心使いありがとうございます』
「…」
その場を去ろうとしたが、私を呼ぶ声が聞こえた。
「ああ、やっぱり蝶ちゃんね」
『母様』
佐助を抱きかかえ外に出て来た母様の元に降りる。
『…』
今の状況をどう説明したらいいのか悩んでいると、母様が微笑んだ。
「お友達が出来てよかったわね」
『はい。楽しゅうございます』
「蝶ちゃんは左之助さんにそっくりだから、無茶ばかりしてるんじゃないかって心配だったの。でも、無用な心配だったわね」
クスリと笑みを溢して、私の頬を撫でた。
『無茶などしておりません。それに…似てなどおりません…そのような事を申しては兄様が…』
「左之助さんが言ってたの。“蝶鈴と朔月は俺にそっくりだ”って、私も納得しちゃったわ」
兄様が…
なんだか嬉しくて嬉しくて頬が緩んだ。
「蝶鈴をよろしくお願いします。奴良さん」
「ああ」
『え?母様、どうして』
「夜遊びも程々に、体に気を付けるのよ」
『母さ』
「行くぞ蝶鈴」
え、何この暗黙の了解。
鯉伴様も母様も…
首無さんまで…
私だけ?
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