アナログチャット

□第一章
1ページ/11ページ

1.

それに気付いたのは些細な落書きがきっかけだった。


久しぶりの学校…来る気はなかった。
学期末のテスト期間。進学に関わるから、と親に無理やり登校させられた。

私はいわゆる不登校だ。
学校がつまらない。友達もいない。学校に行く気がしない。だって望んだ学校じゃないから。

机の上で紙がこすれる音。
テスト特有の緊張感。
カリカリとうるさい鉛筆の音…。

私はそっと机に突っ伏した。
只今の教科は数学。不登校だからといって、勉強してないわけではない。ない、が…

「くそぅ、長谷川の奴インケンな問題出しやがって…」

心の中で憎々しげに呟く。
長谷川とは担当数学教師の名だ。まだ若く顔立ちも悪くないはずだが生徒にはそんなに人気がない。
無愛想だし髪の寝癖は直さないし奴のテストの問題は難しいからだ。分厚い眼鏡の奥の眼はいつも冷めてる。

どう考えても答えは出てこないと諦めた私は、寝ることに決めた。
せめてもの抵抗に机の端に殴り書く。

"ハセガワのバーカ!!"

そして私はそのまま計算式のない世界へと旅立った。

 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ