短編集
□my jewel
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夜闇に気配を散らす。
俺は呼吸を整えた。
閑静な住宅街。
用心深く見渡すが、辺りには誰もいない。
ともすれば速くなる鼓動を深呼吸を繰り返して押さえ込む。
黒を基調とした服。
手袋と、ちょっとした道具類。
職業：泥棒
名前と年は言えない。
言ったら通報するだろ？
数日前から目をつけていた家に、俺は今から忍び込もうとしていた。
ここらの家は金持ちが多い。
しかも目的の家の人間は、親戚の結婚式だかで今は家にいない…と、ある情報筋から聞いた。
好都合。
多少の物音を立てても人が駆けつけてくることはないだろう。
今回のヤマは楽だ。
だけど楽な仕事ほど、慎重にいかないと。
油断して証拠を残し、捕まった仲間は結構いる。
自分の中でタイミングを計り、何度目かの深呼吸で意を決して目的の家へと向かった。
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