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□English
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::喜ばせたくて



知っているんだ。
君たちが私の目を盗んでとある作戦を立てているのを。

私は気付かないふりをしている。その方がお互いのためなのだ。
密かに他者の秘密を知っているというのは、何ともむず痒い気持ちになる。ああ、このこみ上げる笑いをそのままに自分の観察力の高さを誇りたいものだ。

高ぶる心を鎮めて扉を開けると目映い光に包まれた。次いで方々から断続的な破裂音が私を襲う。反射的に腕をあげ顔を背けた。その耳に歓声が届く。

「ハッピーバースデー!」

私は体中に絡まったテープをほどきながら努めて自然に表情を驚きから喜びへと変えた。
いつもの殺風景な部屋は煌びやかなモールや風船で飾りつけられ、テーブルの上には所狭しとご馳走が並ぶ。多少歪な形のケーキはきっと手作りだ。

「すごいな、これ全部お前たちだけで準備したのか?」

これはワザとではない。心からの素直な感嘆だ。

「そうだよ! ケーキも作ったんだよ!」
「サンドイッチも作ったんだよ! 部屋もキラキラにしたんだよ!」
「びっくりした?」
「ああ、驚いた。すごく嬉しいよ」

我が家の小さな参謀たちを両腕に抱きしめると2人は強く抱き返してきた。

「お誕生日おめでとう、パパ」

私の肩に埋もれ、可愛いらしく唱和する。
私を喜ばせようと心を砕いてくれたことが、何よりも嬉しかった。



【strategy meeting】作戦会議
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