企画跡地
□Run after the white rabbit.
White Door
スミレは雪を固めたような真っ白なドアを選びました。
ドアの向こうは薔薇の園でした。妖艶に咲き誇るその花の存在感は他の追随を許しません。
むせかえる薔薇の香と色彩のコントラストにくらくらしながら辺りを見渡すと、真っ白な石で造られたアーチが見えました。スミレはそれに向かって足を進めます。類に漏れずそのアーチも薔薇に侵食されていましたが、一面の薔薇の園で唯一目印にできそうなものがそれしかなかったのです。
近付くにつれて、アーチの足元に真っ白なクロスをかぶせた机が見えました。机の上にはポットとカップ、そしてスコーンをはじめとしたお茶請けが用意してありました。
「これってもしかして……お茶会?」
「ええ、そうですけど」
呟いたつもりが予想外に応じる声が聞こえて、スミレは恐る恐る振り向きました。
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