企画跡地

□Run after the white rabbit.

Clear Door


 偶然か意志か。

 スミレは冬の朝の空気のように澄み渡った扉を探り当てました。手探りでノブ回し扉を押すと、景色に鋏を入れる感覚に襲われました。

 扉の向こうは裁判所でした。裁判官の座る高い席。弁論台。円形にぐるりとかこむ多くの傍聴席。しかし、無人です。シンと降る静寂は、それだけで何かを責められている気がします。

「……誰も、いないんですか?」

 そっと訊ねてみますが、返事はありません。
 今更戻るわけにもいかず、スミレはその辺りをうろうろと徘徊し始めました。
 
次へ


[表紙へ戻る]

ゲームブックを検索



©フォレストページ