蝶よ華よ!

□第四話
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「だーかーらぁー…」

俺は飲んでいたマグカップを少し乱暴にテーブルに置いた。

「別に何も無かったって!」
「嘘だね」
「何を根拠に!?」

ジロッと病み上がりの祐太が見つめてくる。

「俺のいない間に、絶対なんかあったデショ?」
「何回言えばいんだよ、無いっつーの!」
「じゃー、5限サボったの何で?何処にいたワケ?」
「そ、それは…てか何で知ってんの!?」
「情報源は秘密」
「じゃあ俺も秘密」
「華也はダメ」
「何だそりゃ!?」

わーわー騒いでたら篠田が盛大にコホンッと咳をした。

「…何、篠田?」
「咳うるさいよ」
「うるせーのはお前らだろーが、いつまでやりゃ気ィ済むんだよ!明日は早ぇから寝たいんだよ俺は!」
「ごめん、もう1回言って」
「聞いとけよォォォ!」

騒ぐ篠田の傍には大きなトランクがある。

「何持って帰んの?」
「冬服。んで夏服持ってくる」
「篠田ん家は極道ですっけ?」
「見た目で判断するんじゃありません、ていうか長谷川君は速やかに部屋へ戻りなさい!」
「そうそう、祐太も明日早いんでしょ?実家に帰るんだし」

そう、明日からはゴールデンウィークなのだ。
寮生活の為あまり家や地元に帰れない生徒は、連休に帰る者も多い。

「華也は帰んないの?」
「つーか帰る家が日本にない」
「両親は海外かよ、スッゲ」
「まー、夏休みには行くかもね」
「じゃあGWはずっと寮で兄弟水入らず的な?」
「み、水入らず?何かそう言われると照れるな」

ちょっと恥ずかしいが、まぁ久々に三人でゆっくり出来るのは嬉しいかもしれない。
テーブルで頬杖をついた祐太がハァーと項垂れた。

「俺も残りたいなー、でも帰らないと多分ここまで迎えに来るね」
「祐太ん家ってそんな厳しいの?」

俺がポロッと疑問を投げかけると、篠田がキョトンとした。

「は?柊知らねーの?長谷川は…」
「しーのーだ」
「え?あー…、悪い」

祐太に止められ篠田が口を閉ざす。

「えー、何だよ隠し事?」
「まぁまぁ、また今度ね。じゃあ部屋戻るわ、明日早いし」
「ちょっ、祐太!」
「向こう着いたらメールするからさ、オヤスミィ」
「こらーッ」

あっという間に出ていってしまった祐太の怪しさがパねぇ!
篠田に問いただそうとするも、すでに自室に入ってしまっていた。
クソー、何なんだ!?



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