蝶よ華よ!

□第五話
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「五月病とはこのことか…!」
「違うんじゃね?」

バッサリ切ったのは呆れ顔の祐太。
他はシカトだよ、シカト!

「だってヤル気出ないしぃぃぃ」

ゴールデンウィークも終わった頃、あのイベントがやってきた。
中間テストである。

「テストなんて簡単じゃん…」

ボソッと呟く雪也に、最近に飼いだしたペットのナツキはニコニコしながら拍手している。

「雪也様さすがです!」
「許しなく喋んないでよ」
「はい黙りますぅぅぅ!」
「興奮すんな駄犬」

非常に気持ちが悪い。
コイツらなんなんだ…とゲンナリしてると、月也と雪也が俺を見てニヤニヤしていた。

「…なに?」
「兄ちゃん取られたみてーで寂しいんだな」
「大丈夫、俺らの1番のオモチャは華也だから」
「嬉しくねーよ!」
「「羨ましいです華也様!」」
「いやだから嬉しくねーよ!!」

ギャーギャー騒いでると、祐太の手が俺のアゴを掴んでグキッと曲げた。

「話それてるよ。つーかテストは明日からなんだし、今さらどうしようもないじゃん。ちゃんと勉強した?」
「………」
「目が泳いでるけど?」
「ぴゅーぴゅぴゅー」
「吹けないなら口笛しなさんな、華也くん」


********


「そら、そーだよな」
「柊ィ、うるさいぞ」
「ごめんなさいセンセー」

はいそうです、赤点取りました。
でも1教科だけだよ?
苦手な数学だけなんだよ!?

「ったく、追試は受かってくれよ」
「鈴木センセー、ゴミを見る目で生徒を見ないで下さい」
「ゴミは見てねーよ、カスを見る目だよ」
「ひど!ねぇひどいですよね!?」

思わず隣の席にいた人に話し掛けたら、にっこりと笑っていた。

「ふふ、確かに酷いですね」

穏やかな物腰に、優しい微笑み。
黒髪にメガネっていかにも理系な感じ?でも追試を受けるくらいなら結構バカなんじゃ…

「柊、気安く話し掛けるな。遠野はお前と違ってバカじゃないぞ」
「えぇ!?」
「病欠で試験を受けられなかっただけだ、普段ならトップクラスだからな」
「そうなの!?えーっと、スミマセン」

慌てて謝ると、その人は目を丸くした。

「そんな、滅相もない。体調管理が出来ていない時点で僕に落ち度があるんですから」
「…体調管理万全でも俺はダメだったけどね」
「あああ、そんなつもりでは」
「ホラ、お喋りはその辺にしろ。」

鈴木センセーがテスト用紙を配り始めた。
よッしゃああ、祐太に散々しごかれたんだ。
次こそ受かってやる!
俺は意気込んでペンを握った。



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