【ある日の美化活動】 @
会議以外あまり美化委員会の活動に参加しない如月先輩に代わり、実際に仕切る役割なのは矢切先輩だ。
それは今日も同じで、矢切先輩は腰に手を当て名簿を見ながら声を上げた。
「では、割り振りを決めるぞ」
「えぇー、矢切先輩は華也とばっか組みたがるから不公平じゃないっすか」
「わッ、何言ってんだよ!」
隣にいた祐太が変な言いがかりをつけるのを慌てて止めるが、顔を真っ赤にして矢切先輩はキレる。
「な、なんだと長谷川!いつ僕が柊と…ッ」
「じゃあクジ引きしましょーよ」
そんな意味不明な理由でクジ引きすることになった。
そしてクジ運の悪い俺は案の定…
「1人あまったぁぁぁ」
哀しいかな、1人で美化活動と見回りをすることに。
なんなんだ、実は祐太と矢切先輩は俺に嫌がらせしたかっただけなのか?
寂しくゴミ拾いをしながらブツブツ文句を垂れる。
「あ…タバコじゃん」
渡り廊下に箱ごと、ていうか新品でタバコが落ちていた。
あーあ、どっかの不良クンが落としたのかね?よしよし、未然に喫煙を防げたぞ!
「お前、何を持っている?」
「え?」
タバコを持って固まる俺に、腕に風紀の腕章を着けた生徒がずんずん近付いて来た。
「タバコだな?」
「ちち、違う!違いますから!俺のじゃないですからッ」
「皆そう言うんだ、全く…ドコから手に入れた?」
「知りませんってー!」
「仲間を庇っているのか、さぁ風紀室へ来い!」
ふ、風紀室!?
やばいやばい、それはやばい!
北条先輩に見つかったら…ッ
「ひぃぃ、お許しをーッ」
「ああもう、うるさい奴だな!早くしろ」
「矢切先輩、お助けをーッ」
「静かにしろ馬鹿!」
馬鹿って言うなーッと喚きながら風紀室に連れて行かれた。
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