過去の遺物

□1話初期稿
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『そもそも天下の大勢は、分かれること久しければ必ず合し、合すること久しければ必ず分かれるもの』という言葉がある。

この言葉通り、地球帝国によって長年保たれていた世界の平和は、少しずつ綻(ホコロ)びを見せていた。

帝暦二十年
ハイン・ランヴァルトは、恐怖による統治を続け、従わぬ国には制裁を与えた。

ある時、いくつかの国が、帝国への不満を爆発させ、暴動を起こした。無駄だとわかっていても、彼らは抗うしかなかったのだ。それが自分たちの明日を掴むためだと信じていたから。

ハインはVMS部隊を送り込み、暴動を鎮圧すると、決起した国々へ本国の軍隊を置いて、完全な属国とした。どんな思いや願いも、圧倒的な力量差の前では無力だった。

今回のような暴動を再発させないために、ハインは暴動を起こした国々、及び周辺諸国に対して圧政を行う。

それは
・本国から派遣された軍隊が、総ての軍事を取り仕切る
・現政府を解体し、行政も本国の政治家による権限の下で行う
・諸国に重税を課す

という行き過ぎた制裁だった。

自由を求めて戦った結果、それが逆に彼らの首を一層きつく絞めてしまったのだ。だが、この行為は小さな波紋となり、後に起こる大波のきっかけになった。
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