跡部様との1日。

□序章
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「はぁーー…」

「……また溜め息〜?今度は何さ」

「いやぁ〜本当に私、跡部様にならなにされてもいいや!」

「うげ、マジで?それヤバ…や、いやいや、べ様は有り得ないよ。」

「だよねーよっぽど侑士のがイケメン。」

「いや、それも違う。安定の宍戸でしょ」

「「えー!」」


いつも通りのガールズトークに花を咲かせる私達。好きな人の話でもちきり。
でもちょっと事情が違う。


「いやぁ、麗奈はそういうけど実際会ってみたら違うかもよ?」

「えー?なんでー?」

「あれか。あまりにも俺様過ぎてついていけないとかね」

「そうそう」

「えー…」


私には好きな人がいる。跡部景吾。かっこよくて優しくて頼りになって面白すぎて、頭が良くて、運動も出来て…もうパーフェクトな人なのに友人の二人はわかってくれない。


「だって素晴らしい人じゃん!?」

「いやぁ、まぁ確かにカッコいいけどさ」

「うん。けど無理。」

「えー?でもね、私さ、もうやって欲しいことがあるんだよね!」

「「何を?」」


二人は私の妄想に付き合ってくれる。
えっとね、と続きを語る。
やって欲しいこと。それは、
景ちゃんとは席が前後で私が前。
私、授業中とか寝ること多いからもし寝てたりしたら教科書とかでスパァン!って叩かれて、寝てんじゃねぇよって起こされたい。と最後にハートマークを付けて語ればドン引きされた。
なんでだよー良いじゃんか。
『麗奈最近Mっ気増してきたね』
と言われた。確かに。
景ちゃんが俺様だからだよね〜
と幸せそうに言っておいた。


「…まぁ、無理なんだけどね!」


と、開き直ってみる。でもやっぱり景ちゃんカッコいいからなぁー諦められん!


「あはは」

「っあー!!景ちゃんに会いたいー!」


そしてこう叫ぶ私。



「トリップしてぇーー!!!」

「「出来るんならしとるわー!」」

「ですよねーー!!!」

他愛もない会話。いつも三人の間で交わされている妄想。そう。私達は漫画であるテニスの王子様が好き。所謂二次元。もうだいぶヤバい。トリップしたくて仕方なかった。あ、トリップって言うのは二次元に行くことね。


「あーあー…会いたいなぁ〜」

「…もう、それ以上言わないで…私だって会いたいよー!侑士ー!」

「宍戸に会ってみたいー!」


三人で話すと必ず一回はこんな会話を繰り広げる。そして、なんだかんだでみんなお互いの好きな人を褒め合うのが日課。あはは。


「いや、ぶっちゃけ跡部はカッコいいと思うよ?私も侑士いなかったら跡部に目が向いたかも」

「えー?本当?まぁ私もなんだかんだで忍足好きだったよ?だったね。」

「何故あえて過去形を強調するのww」

「いやぁ。嫌な思い出ってやつ?」

「ひどーい!侑士に嫌な思い出なんか出来ないよー!」

「んー…二人の話を聞いてもやっぱり…私には景ちゃんだけだなぁ〜」

「「…跡部中毒だ…」」


もう!!好きすぎて呪われても知らないよ〜?なんて二人に言われた。
いやいやいや!どんなヤンデレ!?呪うの景ちゃんでしょ?嫌よ嫌よも好きのうちかぁ〜(笑)って言ってみたら、


「「いや、ウザすぎてだろ。」」

「…………」





あぁ…あれか…仕返し的な意ね……





*********





「…はぁ、うまい具合にトリップ出来ないもんかな」


自宅に帰り、さて寝るか!の、前に毎晩恒例の!テニプリのサイト巡り!いえーい!1日のうちで一番好きな時間!
や、まぁ恵梨奈と美咲と一緒にいる時間も好きだけどね!もちろんだろ!
さて!今日は新しいとこでも探してみようかな!明日お休みだしね!!Goo〇leを開いて『氷帝学園 夢小説 トリップ』っと…。あははー。最近どうしてもトリップしたくてしたくてさあー…末期だ。

ランキングや色んな人のリンクから飛べる。今時凄いよね〜……ん?
一際目立つ訳じゃないのに私の目を釘付けにしたサイト名…
『貴女を不思議な世界へご招待』
うわぁ!なんだこれ爆笑。いかにもだ…
本当にトリップ出来ちゃいそうな感じだななんて思い、不思議な感覚に捕らわれてついワンクリック。あ、やば。変な18禁サイトだったらどうしようあははーやっちった。
……ん?おぉ!!良かったー!普通のサイトだ!おぉ!設定はそれなりに楽しめるかも!よっしゃー!当たりっ!
名前を変換して読む。うわ、これハマる…





「………うはぁ!!やっと半分!ってええぇ!!なんで2時半!?やばー…またやっちゃったよ」


夢小説ファンなら誰でもあるよね!?気付いたら夜中ーみたいな…あはは…
うーん明日休みとは言えちょっとなぁ…
今日部活だったし…
何かに夢中になるのは恐ろしいことで、集中してるときはなんともなかったのに2時半だと気付いた途端に重くなる瞼…
眠い…そう思った瞬間パソコンのディスプレイに現れた文字。…なんだよ…え?アンケート?うわぁーめんどくさい。切ろうかな…けどなーこの人結構良かったからなぁー参加するか。なにやらパスワードがどうちゃら、トリップしたいかとか、誰担当だとか。まぁよくあるパターンのアンケートだよね。眠い…あー…。なんとかアンケートを記入し終えすぐさま布団へ。も…無理だ、珍しいな…こんな眠いの…
アンケート…ちゃんと答えられてるかな…へんな事打ってないかな…


そんなことを考えたのを最後に私は意識を手放した。





2012.05.06


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