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□放課後デート
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「なん?自分自転車だったん?えぇなぁ〜」


突然かけられる声に私は、
焦る焦る焦る。だって、
わざわざ私が自転車と言うことに気付いて声をかけられたことにまず、びっくり。いや、それよりも……
声をかけた人物……それは
うちの学校で生徒会長の次にモテる、忍足侑士……。
一応私は彼とクラスメイトでそこそこ仲がいい……ハズ。
だってたまに話すし、一緒に帰るもん。なら仲がいいよね…?


『そうかなぁ?』

「せや!!今日も一緒に帰らへん?ニケツしてみたいわ!」

『えぇ!?』

「えぇやん、俺が漕いだる!」

『いやいやいや!』

「……人目気にしとるん?」

『え、そういう訳じゃ…』

「じゃあえぇやん!今夕方やし人少ないで?」

『えー…私重いし。』


よしっ!!これで諦めて!
めちゃくちゃニケツやりたいけど流石に忍足くんとは他の子の目線が痛すぎるでしょ!


「テニス部なめんなやっ!!第一、女の子の体重くらい支えられるわ!!てか、自分細いやん!」

『う……』


そう来たか、一気に来たか、
こう来るのか……


「ほらほら!!もうごちゃごちゃ言うとらんで行くでー」

『……はぁーい…』


それから校門を出た私達は
忍足くんに言われたので後ろに乗りました。


「よーし!!ほな行くでー!」



そう言ってから数歩漕ぎ出す忍足くん。………えぇっ!?安定感無さすぎじゃないですか!?

さっき私が乗って漕ぎ出してからフラフラな運転…

え、倒れないかな……


「あー、アカン。ちょい降りてくれへん?」

『え?あ、うん。』


あらら。もうギブアップか…
………ん?もしかして、マジで私重かったのかな!?え、ショック!!えー?!


「悪いねんけど、サドル上げてもえぇか?」

『………え?あーあはは。はい。どうぞどうぞ!』

「? ちょっと上げるな?」

『うん。』


なんだー。サドルかー。
良かったぁー。マジで重いとかだったらへこんでた〜…


「よしっ!!今度こそ行くで!」

『はーい!』


そこからは、さっきの運転が嘘のように軽々と自転車を漕ぐ忍足くんだった。
サドルをあげたせいでさっきよりも忍足くんの顔が遠い位置にあった。うーん…私、サドルがこの高さはギリギリだな。足長いなぁ〜…羨ましい。


「どしたん?」

『はいぃ!?』

「なん…そんなに驚かんでも」

『あはは……』

「せやった。龍門寺の家こっちやったっけ?」

『あ、うんっ!』


それから最近の部活での出来事とか、忍足くんのお友達の話とか…あ、跡部くんがコンビニに連れていってもらって興味津々で商品を見てたって話には爆笑しちゃったよ。あいつ、ホンマ笑えるんやって言った忍足くんは本当に楽しそうだった。


『仲がいいんだね〜』

「……そう見えるん?」

『うん。まぁ。』

「あぁ。そういや龍門寺は宍戸と仲良かったん?」

『え?』


まさか宍戸の話が出るとは!
いや、確かに家が近いから仲いいけども……学校ではそんなに話したりしないけど……


「いや、忘れてや。ちょっと今朝お二人さんが廊下で話してるん見てちょい気になっただけやねん」

『そっか。まぁ、家は近いよ』

「…へぇ。ホンマか。」


そんな話を最後に、楽しい時間は過ぎるのが早いと言うものでもう私の家に到着。あーあ…もうちょっと一緒にいたかったな。
……私、一応、忍足くんの事好きだからさ?


「着いてもうたな。」

『あ、うん!あー、ありがとね!送ってくれて!!』

「いや、気にせんといて。」

『じゃあ、また明日!』

「おん!」


そう言って踵を返し、帰る忍足くん。と、思ったらいきなり振り向いて、


「またいつかニケツしよなー!」

と、言い捨ててダッシュで帰って行きました。


あはは。ヤバいかも。
すっごく嬉しい…


それから私は忍足くんが触った…いや、なんか語弊があるな…。忍足くんが上げてくれたサドルを自分で直せず(もったいない的な)今日も頑張って自転車に乗るのでした。……止まった時、足がギリギリでつらいっ!!

けど、いつ忍足くんからのお誘いがあるともわからないので今日も私は頑張るのです。





-end-

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