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□跡部の場合。
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今日は忍足達に勧められたコンビニへ行く。なんでも新しく出来た上に、品揃えが半端なく良いんだと。新しく出来たつっても元々あったコンビニを新しく改装したらしいんだが…。ただ、異様にテニス部の出入りが多いそうだ。我が氷帝に限らず。
本当は樺地も連れてくる予定だったが、用事があるらしいので1人でコンビニへ向かう訳だ。
…あぁ、あれか。
それなりに綺麗な外観。
この俺様がコンビニなんざ来たことないだろうと思うだろ?けどな、実は来たことがあるんだなこれが。部活のやつらと放課後出歩けば寄り道程度で行くわけだ。まぁ、本当についてっただけだから買い物なんざしてねぇが。
つまりは今回はある意味初だな。
「いらっしゃいませー!」
アーン?以前はここの店に女はいなかったはず。新しくしたから店員も変わったのか?
ふん…まぁいい。とりあえず店内を物色する俺。
何を買おうか……
特に何も思い付かなかったので忍足辺りにメールをしてみる。
知恵を分けやがれオラァ!と。
まぁ当然帰ってくる返事は、
訳分からんわ!大丈夫か跡部!?と、帰って来た。俺様は正常だ。コンビニで何か買って欲しいもんでもねぇか?と聞くと丁度向日と遊んでいたので何かお菓子があるといいとか送って来やがった。
だから、何を買うんだっつの!
「………………」
とりあえず、お菓子コーナーと思われるものの所へ向かって早数分。メールしたら、好きなもの買えばええねん。って……特に食べたいと思うものもない。
困った。一応アイツら二人が欲しいものはかごに入れたが…それとこれだけじゃ寂しいからもう少し買っていく。と…思ったが何を買おう。甘いもんが欲しいとか久々に思ったんだが…。どうやら俺以外に客はいないらしく、暇そうな店員に聞いてみた。げ……女じゃねぇか。無駄に笑顔を振る舞われたら厄介だ…。はっ…モテる男は辛いぜ!
「…何かおすすめのスイーツはねぇか?」
と、尋ねたところ。言葉のキャッチボールがなってねぇ!!!
何が、『うわ、発音いい!』だ!!こっちは質問してんだから答えろよ!すると店員は慌てて、
「し…失礼致しました!スイーツですね?チョコレート等の方がよろしいですか?それともフルーツ等のほうがよろしいですか?」
「………あー…いや、本当にお前のおすすめでいい。」
「……え?あ…えーっと…」
この店員、余程スイーツが好きなのかお前のおすすめは?と聞いたら物凄い目を輝かせて選びにかかった。どんだけだよ…
「こちらは新商品なんですけどチョコレートが濃くて、思いっきりチョコレートが食べたい時におすすめですね!あとはこっちはこの値段でそれなりに楽しめますね!だって生クリームとカスタードのダブルですよ!?あ、あとこっちはクリームチーズ系なんであっさりしてますね。あ、これもそれなりにいいですよ!ミニパフェみたいで豪華ですし…まぁ、それなりにお値段は上がりますけど…」
……呪文か。
他にも何か言っていたが、もう聞き取れない。最初の方はかろうじて聞き取れていたがもう何を言っているんだか、謎だ。
あー…面倒だ!
「じゃあ全部頼む。」
「はい!かしこまりました!全部ですね!……え!?全部!?」
そうしてレジへ向かう俺様。
あー…やはり少し買いすぎたな。まぁ、持てない量じゃねぇな。ただこんな大荷物久々だな。最近はラケット以上に重いものを持った覚えがねぇな!はっはっは!
「えーっと…30品で4946円です。」
「……アーン?本当にこれであってんのか!?安すぎじゃねぇか?」
「えっ!?高いですよ!コンビニで5000円相当ってどんだけですか!!」
「……そうなのか…?」
「…まぁ。たぶん。」
「はー…そんなもんなのか、じゃあ、カードで頼む。」
「はい、かしこまりました。」
と、カードを渡してから受け取ったその瞬間にバチィ!と起きた電撃と言う名の衝撃。
「――っ!?」
何だ!?今のはっ!!
「!!痛っ!っあ!申し訳ございませんっ!!静電気が…」
「お前の熱い想い…受け取ったぜ……」
「………はぁ!?」
「…ふっ……照れるな。俺様は気の強い女は嫌いじゃねぇぜ?」
「えっ!?気の強いって覇気的な『気』ですか!?え、今の静電気…」
「気っつったら性格に決まってんだろ?あーん?」
「ちょっ!それも違う!てか、言葉のキャッチボールしてくださいよー!私の言葉を受け取って!」
「…気に入った。また来るぜ?」
「…え、ちょっ……」
こうして俺様は忍足の家へと向かったのだった。
なんて刺激的な恋だったんだ!!!また来てやろうじゃねぇの!あの店員に会いに。
end.