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□裏切り新参者
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意味わかんない!
意味わかんない!
信じらんないっ!!
本当に死ねばいいと思う。
こんなに誰かを、ましてや一番の親友を、死ねばいいと思っているなんて…こんな展開ってないよ…ベタすぎて笑っちゃう。だって、私達は絶対あり得ないって思ってたんだもん…けど……やっぱりフツーの友人関係だったんだね…もう少し絆の深い仲だったと思ってたのに…
私は今日、一番の親友が一番嫌いになった。理由は簡単。裏切られたから。普通は、くだらな過ぎて本当に笑っちゃうかもね……でも、私にしたら笑い事なんかじゃない。
あれだけ…あれだけ応援するって言ってくれたのにだからこそお互いここまでの関係に………
第一好きな人いるからって、その好きな人も私は知ってる。もちろん私とは違う人。それなのに…


彼女は俗に言うメンクイ。
イケメン好きで、男好き。
付き合った事も実はない。
だけど色んな男とは遊ぶ。
カップル潰しをよくする。
そんな彼女が人の恋なんか応援出来る訳なかったんだ…例え、それが友人であっても…
彼女が片想いしていた相手は私達の学校の中で人気ナンバー2の『忍足侑士』ちなみに私は無謀ながらも学校内ナンバー1の人気を誇る『跡部景吾』に片想いしていた。てっきりメンクイな彼女のことだから跡部君を選ぶと思ってた。でも違った。
私はマネージャーで彼女は生徒会で彼らと知り合った。彼女には忍足君がツボだったらしい。しかも一目惚れ。
メンクイの彼女が今更惚れたのは訳がある。それは、手身近な、仲のよいクラスメイト等から攻略していったからで、有名だったけどあまりにもイケメンだから自分は無理っ!!と言っていたのを思い出し、関わりは作っていなかった。だから忍足君に惚れたと言い出した時はびっくりした。
私と跡部君の出会いは中学の時の生徒会だった。生徒会で知り合って最初は純粋に彼に惹かれた。頭脳明晰で清廉潔白、容姿端麗…もうこれらの四字熟語は彼の為に出来たかの様な人…。凄いなと思った。確かにこれならモテるな…と納得してしまった。そんなこんなで私は跡部君と話す機会が増えて彼も私に話しかけてくれるようになった。そして高校にあがってからはマネージャーをやってくれと頼まれた時は死ぬほど喜んだ。ずっと私は彼の事が好きだったんだなぁってその時しみじみと感じた。
マネージャーになってからは更によく話すようになったし、驚く事に、彼から遊びの誘いをされたりもしていい感じだった。

その時くらいには友人の彼女は忍足君が好きだったからよく四人で遊んでた。だから、彼ら二人のファンクラの子からは付き合っているのか!?とか何度も聞かれた事があった。そこで私が驚いたのは覚悟していたイジメがなかった事…
なんでもあまりにも入り込めない程仲が良かったかららしい。
一番仲がいいであろう女子に手を出したりしたら自分達が嫌われかねないと考えたからだろうかと勝手に解釈をしていた。

そんなこんなでまさかの私は跡部君と付き合うことになった!!もうその時は夢なんじゃないかって思った。だってあの跡部君が私と……。ちなみに彼女はもちろん忍足君と。

……の、ハズだった。

本当に忍足君と付き合っているのかと疑問に思うくらい……























跡部君にベタベタし過ぎ……






















初めてそれを実感したのは付き合ってから三ヶ月が過ぎた頃。
高校では私は生徒会のメンバーじゃなくなって今度は彼女が生徒会になっていた為、生徒会の仕事があった二人は忍足君と私を残して忙しなくお昼を片して屋上から出ていった二人。
その時見てしまったのだ。
彼女が…跡部君に抱きつくのを………抱きつくって言ったってノリで、飛び付く感じだったけど、
でも私の…跡部君の彼女の前でなにやってんの?って。彼氏の忍足君だっているのに…
それからよく見かけるのは、
ハグ、頬にキス、間接キス。
彼女がいるのにそんなことやるかフツー!?いい加減堪忍袋の緒が切れた私は忍足君に問い詰めた。そしたら彼は……


『あはは…堪忍ね、あいつ結構男好きやねん。そないな事承認済みやん。急にどないしたん?』


って言って笑ってた。


ナニソレ………


跡部君には言えなかった…
何故か…嫌われる気がして…


そんな時、不意に言われた彼女の言葉。



『ごめん、あたし、フツーに景吾の事好きだから。侑士がいなくて麗奈もいなかったら景吾と付き合ってる。』



………は?
な…に?
なにそれ……
いなかったらって何?
って言うか普通に好きだって言えばいいじゃん。意味わかんない。なにその無駄に遠回しな言い方。あんた忍足君どうすんのさ?
跡部君は渡さないよ??

それからも何故か二人で遊ぶときはよくあった。自分でもびっくりするくらい。てっきり喧嘩でもした雰囲気になるかと思っていたのに…
あんな宣言をされたのに未だに遊んでいるのはどこかで冗談や気まぐれと思い込んでいるからなのかも知れない。でも…彼女はきっと、跡部君と近付く為に私が必要なんだろうな……。
それから二人で遊ぶときはさりげなく跡部君の話ばっかり。
どこから得た情報か知らないけど私の知らない跡部君の学校での出来事とか、次のダブルデートをどこにするとか、


「ねぇ、ごめん。久々に二人でデートだからその日は無理…」

「え?なんで…」

「なんでって……っていうか、そっちも久々に二人で出掛けてきなよ!!ねっ?」

「…く…ない…」

「……え?」

「二人でとか楽しくないし!」


は?
私は彼女のそのセリフに唖然とした。楽しくない?意味がわからない。好きな人と出かけるのに楽しくない?


「わかった。」

「な…にが?」

「この間あたしが景吾の事好きって言ったの根に持ってるんでしょ?だからやだとか言ってんでしょ?違う?あたしだって四人なんて嫌だよ。」


何……違うし……
跡部君が言ってくれたんだもん…いい加減二人でデートしようって。第一四人が嫌って…じゃあ忍足君と出掛けりゃいいじゃん。


「麗奈邪魔だよ。景吾とデートしたくても忍足と行けって言われるし、別れたらいい?って聞いたらお前何言ってんだって相手にしてくれない。極めつけには俺には麗奈がいるんだ。だってさ……」


まさか、そんな話をしてるとは思わなかった。それよりも、私の事を考えてくれてることに驚いた。本人に言ったら当たり前だろって言われそうだけどね。でもどこかで不安だったんだ…別れはしなくてももし彼女になびいて浮気でもしていたらって……跡部君に限ってそれはないって思ってだけど…第一、今のセリフ当たり前すぎて言葉がでない…何を言ってんの?この子は……


「邪魔って……ずっとそんな風に思ってたの?忍足君いるのに…」

「当たり前でしょ!?うざいよっ!!あたしより地味なくせに景吾なんかと付き合って!!消えればいいのにって思ってたよ!!」

「なん……」


急に彼女の目付きが変わった。
怖い。こんな顔をしたのを見たのは初めてだった。そんなに私が憎いの??


「うざい。マジ消えてよ。」


あまりにも一方的な態度にいい加減こっちも腹が立ってくる。あんた何様のつもりなのさ!!どんだけイケメン好きなの!?跡部君と付き合ってる私が言えた事じゃないけどさ、彼女とは全然違うし!!この人は全体的に軽いんだよ!あー!もう!この際だから言わせてもらおうっ!!


「…ふ…っざけないでよっ!!後から来たくせにっ!!メンクイなだけの女なくせに!カップル潰しとか性格曲がってんだよっ!!私と跡部君が付き合っててなにが悪いのさっ!!選ばれたのは私だもんっ!!そんな言い方ってあんまりだよ!!!」


溜まってたものが一気に出た。
スッキリした。
彼女は図星だったのか非常にうろたえた顔をして帰った。
その後私は、跡部君に会いたくて仕方なかったから電話してみたらむかえに来てくれた。迎えに来てくれて言われたことは、『お前…どうした?』って慌てながら言われた。何かと。それは、言われて気付いた。私が泣いていたことを…







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