「いたっ!……っ」 「えー?どしたー麗奈?」 「うー…指切ったー」 「うはぁ…痛そう。紙で指切るの地味に痛いよね」 「うん…押すと痛いし。」 「絆創膏あげるよ、次は気を付けなー?」 休み時間中にプリントの整理をしていたらまさかのコレだ……紙で指を切ってしまった。友人に絆創膏を貰ったから良かったもののやはり痛いものは痛い。絆創膏無しで手を洗うと滲みるんだよなー…。久々に指を切ったと思う。懐かしい感じ。嬉しくは無いが。 今日は放課後に景吾のところへ行って少しだけ生徒会の仕事の手伝いをしようと思っていたのについてない。一度指を切ると、次に紙を触るときに少なからず恐怖心や不安感を抱くのは私だけではないはず。こういう時って絶対もう一回指を切る……。はぁ…。 私はこの数分で何度目かわからない溜め息をついた。指を切るのは嫌い。地味に痛いから最後に切ったのは中学生の頃だったか。 そんなどうでもいい事を考えつつも午後の残りの授業を受けた。 ***** 痛みというのは気になるもので、放課後、愛しの彼氏の景吾の前だと言うのに傷の事を気にして指に集中がいってしまった。 そういう時、景吾は気にしないことが多いけど、今日は気になった様で訪ねてきた。 「今日はなんだか落ち着かねぇみてぇだな?どうした?」 「え!や、なんでもないよ?」 「……何か隠してねぇか?」 「いやいや!そんな大したことじゃ…」 「……じゃあ話せるだろ」 「……」 ただ昼休みに紙で指を切っただけだよ。と溜め息混じりに答えれば、どんくせぇなと帰ってきた。失礼なっ!何故そこまで言われなければならないの!?ひどすぎる!少し拗ねたように、結構痛いんだからね!と言えばそうか。とだけ呟いて目線を外された。 「…はぁ。ごめん。なんか今日紙が怖いから手伝えないや」 「…おい。それは理由にならねぇぞ」 「多目に見てよー!痛いんだから」 「………」 「……景吾?」 突然黙ったかと思えば、何やら熱っぽい目で見つめられた。が、その視線はすぐに私の指先へ。え? 「え、ちょっと景吾!?」 何をしでかすかと思いきや、景吾は私の指先に巻いてある絆創膏に手をかけ、なんと剥がした。それはもう適当に。痛い。 荒々しく剥がされたことにより傷口に少なからず影響を与えた。衝撃で痛みが走った。 「……っ…な、にす…景吾!?」 怒ってやろうと思ったらいきなり傷のある指を咥えられた。唾液が滲みる。 「…やっ…ちょっと!景吾ってば!」 まさか応急措置とか消毒のつもりじゃないだろうなと考えたが、そんな野性的な方法を景吾が知ってるとは思えない。じゃあ何故? 「…ん…っ……!?…いたっ!」 最初はただ指を咥えられただけだったが急に傷口にそって、舐め始めた。何をしてるの!?痛いよ!!!すっごく滲みる! 「…っ……ね、ちょっと。何してんの?」 「アーン?なんだよ」 透明な糸が指先と景吾の口を繋いでいた。名残惜しそうにようやく口から離したかと思えば指は掴まれたまま。 「ちょっ!痛いんだけど」 「……んだよ…文句あんのか?」 「いやいやいや!だから痛いんだって!文句大アリだよ!!」 「…黙ってろうるせぇ」 「ええぇ…!」 まだ言いたいことが山ほどあったのに黙れとか…。何も言えずに固まっていると、にやりとした景吾は物凄い台詞を吐いた。 「…良い顔してたぜ?」 「はぁ!?何それ!んな訳っ!い!」 「……血の味がするな」 「いたっ…ひどいよ!治りかけてたのに!どうしちゃったのさ!?」 まるで吸血鬼かよ!とツッコミたかったのにまた私の指先に集中してしまったからどうしようもない。一度は離したのにまた咥えられる私の指。痛い。って言うかなんか… 「……景吾エロい…」 「……アーン?」 綺麗な形の整った薄めな唇に咥えられている私の指。それに絡められる生暖かい真っ赤な舌。それを見つめる景吾の熱っぽい瞳。時折口の隙間から見える赤い舌が物凄く卑猥に見えた。景吾を見ていると何やら疼く。それが伝わってしまったのか、今度こそ指から口を離した。 「なんだよ?感じてんのか?アーン?」 「はぁ!?んなわけっ」 「じゃあ……これはなんだよ?」 「…ひっ…や……あ」 突然、景吾の指が私の秘部に触れた。言われなくても自分でわかった。擦られた瞬間、凄く濡れてるのが感じられた。 「……お前のココ、ぐちゃぐちゃだぜ?」 「んぁ…こすっちゃだめ……」 「はっ。それがイイくせに」 なんで…いきなりこんな展開に!景吾は私の言葉なんて聞いてくれなくて、そのまま止めることなく指を入れてきた。その突然の行為に反応し、しなる体。景吾はズルい。いつも焦らす。一番触れて欲しいところをわざと避けて、その一番の場所の周りばかりを攻める。そのもどかしさと言ったらたまらない。 「……ん…いや、そこじゃ…な」 「じゃあどこがいいんだよ?」 「い…じわるっ…んん」 「誰が意地悪だ。言わないんじゃわかんねぇだろ?」 「…そっ…だけど…」 そう言いながらも手を止めずにギリギリに触れる。絶対確信犯だ…。も…辛い。早く触れて欲しい。限界。 「もっと……っ」 「……もっと…なんだよ?」 「…う…えと……奥…」 「……奥…な…」 ハッっと薄ら笑い、じゃあもっと良いモンやるよと言われ指を引き抜かれたかと思えば熱いモノがあてがわれた。 「…ちょっ…え、ま…待って!」 「待たねぇ。」 「ひっ…ぁや……っ」 一気に奥まで遠慮なしに突き立てられた景吾の欲望の塊。熱い。先ほどまで焦らされていた私はそんないきなりな刺激も快楽でしかなくてもっとと思う。一番奥まで何度も突かれると段々と気持ちが良くなっていく気がした。今日は一段と激しいな。なんて薄れていく意識の中でふと思った。 ***** 「ひどいよっ!!いきなりヤりだすなんて!」 「仕方ねぇだろ。お前が良さそうな顔するからだろ?」 「…なっ!!先に発情してたのは景吾じゃない!!」 私が真っ赤になりながらも抗議していたらまさかの台詞に驚きを隠せない。先に指舐め出してすっごく良さそうな顔してたのは景吾でしょ!?お陰で治りかけてた傷口が開いたんだから!どうしてくれるんだ!! 「アーン?誰が発情してたって?」 「だから景吾でしょ!」 「…違うな。発情じゃなくてお前の傷に惹かれたんだよ。」 「それ発情と変わらなくない!?」 「…んだようるせぇな。気持ち良かったならそれでいいだろ?」 「…なっ!?///サ…サイテー!」 「サイテーで結構だ。」 信じられない!今までこんなことなかったのに!なんで景吾がこんな事になってしまったのか全く見当がつかないんですけど! 一人で悩んで唸っていると後ろから耳元で囁かれた言葉。 「…またケガしたら来いよ。俺様が治療してやるぜ?」 「…なっ…また舐める気!?」 「良かったろ?」 「…うっ…//」 「決まりだな。」 ニヤリと笑った景吾に反論が出来なくて首を縦に振ってしまった私は景吾の虜だ。 じゃあちゃんとやってよねと言えば。景吾は自信ありげな、満足した顔で笑った。 治療は貴方の唇で。 . |