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□不完全燃焼
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「俺は……中学の頃に負けた」

「…っ…そんなん!誰だって失敗はあります!」

「いや、失敗とまでは言わねぇが最近の汚点だな。」

「…………本当に…凄いです…」


彼がこんな風に語るのは初めてだった。自分の事をペラペラ話すような人間ではなかったから。代わりに私が話してるのかも…
そういえば何歳かも知らないや年上?


「……あの…忍足さんは…」

「………あ?…ああ!」


え、何か考え事でもしてたのかな?声をかけても一瞬無反応と言うか、は?みたいな顔された気がしたんだけど…
私が固まっていると、で、なんだよ?と先を促されました。


「忍足さんは…その…一緒にダブルス組んだ人とは仲が良いですか?」

「…………」


おっとやっぱりまずいことを聞いたか?え、ちょっそんなあからさまに嫌な顔をしなくても!えーっとな…と微妙な面持ちで私の質問に答えてくれた。


「……他校のヤツと組んだんだよ」

「そうなんですか!」

「………別に特に仲が良い訳ではなくて作戦上やむを得なかったんだからな!?」

「あはは!そんな意地を張ることですか?別にいいじゃないですか」

「……あれも最悪な試合だったな…」

「……え…」

「まぁ、俺様の話しはともかく、お前、ダブルスどうするんだよ」

「やりたく……ないです」

「……そうか。…お前のためを想い、あえて厳しく言う。……逃げるのか?」

「……っ…」


そう来るとは思わなかった。いや、わかっていてあえて考えなかったのかも知れない。まぁ…そうだよね……私…何を期待してたんだろ…彼に優しく慰めて欲しかったの?そんなの…僅か数日だったけど彼の、しっかりとした優しさ、厳しさ強さ……そんな事わかってたはずなのに……


「……頑張らなきゃ…駄目かな…」

「……まぁ、個人の自由だが、まずはその相方とのいざこざを解くべきだな」

「……あ…そっか…」

「…お前は確かにシングルス向きだな。勝手に動き回りそうだもんな」

「えー!なんですかそれ!ひどいです!」

「ふっ…怒るなよ。ま、自分を信じろ。自分を信じられない人間に他人を信じることは出来ねぇんだぜ?」


その言葉を聞いて、あぁ…凄いななるほど…と納得した。ちょっと頑張ろう…かな。
あと、お前に言わなねばと思っていた事があるんだ。と急に真面目な面持ちで告げられた。


「……実は…俺は…」

「……な、なに急に…」

「俺様の名字は忍足じゃねぇ」

「は?」

「だから…俺様は跡部景吾だ」

「……え…あ…はは…うん。なんとなくわかってた…かも…」

「……そうか。でだ。これからはちゃんと俺様を跡部景吾として見て欲しいんだ」

「…えと…それはどういう意味で…」

「出来ればオフな日は俺様との時間を作れよアーン?」

「…あ…あははー…」


まさかの中途半端だった関係をしっかりとお友達…ではなく違う関係になりそうです。
私が氷帝の選手に負けちゃって悔しくてめちゃくちゃ不完全燃焼的な試合だった…けど、憧れの選手とは勝利に終わりそうで、でも偽名を使った理由が未だにわかりません。その辺も含めて不完全燃焼だー意味不明…




2012.10.2
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