小咄

□4月小咄。其の二。
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「もーッ可愛くない!」
いや、キョウヤが可愛いってのは自分でもおかしいと思うんだけど。
何でアイツはいつも嫌味な言い方しかできないんだよッてことだ。
「へぇ、ナニ怒ってンだお前」
わかってるくせにそんなことをいいながら。
「お前がオレを怒らせてンの!」
「・・・怒ったカオも可愛いから、ついな」
「!!」
お、オレが可愛くてもお前が可愛くない!



・・・「可愛くない」
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「銀河、もっと啼いて・・・オレを愉しませろ」
「ひゃぁッ!ヤ、あぁん、ン、−ッ」
「ほら、もっとだ、・・・啼け」
「キョウ、やぁ・・・も、ぅ・・・ア、あぁ・・・ッ」
「そうそう、もっと気持ちよくしてやるから・・・愉しませろよ?」
「やぁ、やだぁ・・・ア、あんッ、ひゃあン!」



・・・「ないて愉しませろ」
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本気にしてもいいのだろうか。
オレにはお前しか要らない、そう告げた時の・・・言葉を。
「キョウヤなら、・・・オレも・・・」
あの時に交わしたキス、未だにあの感触を覚えている。
あの直後にオレは、アイツと世界で闘う為に・・・アイツの手を離してしまった。
ふいに伸ばした指先は虚しく・・・空気を掠めていった。



・・・「伸ばした指先は空気を掠めて/お前しか要らない/本気にしてもいい?」
--------------

「なあ、それちょっと貰ってもいいか」
「味見かよ、構わないぜ?メンドクセーからさっさと口開けろよ」
「ん、あーん」
ぱくん。
「・・・もっとちょーだい」
「・・・あ?・・・口開けて待ってンじゃねぇ」



・・・「貰っても良いかな」
--------------

「謝っても許さないんだからなッ」
オレはそうキョウヤに向かって怒鳴ると口をぎゅうぅと強く噛みしめた。
俺が怒ってる理由?
だってヒドイんだぜ!
オレが夕食後に楽しみにとっておいたアイス黙って食っちまったんだから!!
もーホント自分勝手なんだからさ、キョウヤはッ



・・・「謝っても許さない」
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「痛、い・・・けど、気持ち、イイ」
オレの身体をいいように這い回る手の心地よさについてでたその台詞。
さらに続けて、
「あー・・・死んでも、いいかも・・・すっげぇ・・・幸せ」
って言ったらキョウヤがその手の動きを止めてしまった。
「・・・なら死にそうに、幸せってコトにしておけよ?」
フンと鼻を鳴らして、キョウヤはまたオレへのマッサージを続けたのであった。
「・・・力の加減の入れ具合ってのがホント巧いんだぜ、キョウヤってばさ」
「褒め言葉だな。オレがこんなことするのは・・・お前だけだからな」
「おう!」



・・・「痛い、けど、気持ちいい/死にそうに幸せ」
--------------

「お前に恋して・・・今度は愛ってヤツをオレは知ったンだぜ?」
好きになるってのが恋ならその相手を思いやる、そんな気持ちを言葉に表すってなら愛だろ、愛。
「ッ、あ、あ、愛 −?!」
その言葉を口に出した銀河は目を見開いてオレの顔を凝視している。
・・・オイ、オレはそんなにヘンなことを言ったのかよ?



・・・「君に恋して、君への愛を知る」
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どこ見てるんだよ!こっちだろ、こっち!
・・・オレはひどく腹が立っていた。
でも、それが自分勝手なものだってことも自覚してる。
でもさ!
腹立たしいったらありゃしねぇ!
オレは睨むように、視線の先にいる背を向けて・・・かつてのチーム仲間と話している彼の立ち姿を射抜く。
・・・早く気づけよ、バカ。



・・・「(どこ見てるんだよ!こっちだろ、こっち!)」
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「キョ、うやぁ・・・」
ねだるように、銀河が甘ったるい声を。
腕が伸ばされた先は自分を上から見下ろすキョウヤへ。
「・・・お前が望むンなら何度でもしてやるぜ?」
その腕を掴んで首へと回した。
さらに近づく二人の視線。
涙で潤んだ銀河の瞳に、まだ欲望の種が燻っているのをキョウヤは見逃さなかった。
銀河の淫靡なその誘うカオと仕草にキョウヤは、
「そんなトコもスキ・・・だぜ?」
そう言うと目を細めて、にやりと口角を吊上げる。
犬歯を舌で弄りながらその顔を自分を望む銀河の顔へと寄せていった。
口唇が触れ合った瞬間に二人の距離がゼロになる。



一つ下のお題の別ver.
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「お前が望むンなら何度でもしてやる」
キョウヤが不敵な笑みを浮かべながらまたランチャーを構えた。
「・・・ああ・・・頼むぜ、キョウヤッ」
銀河も荒い息を吐きながらも同じようにランチャーを手に、シュート体勢をとる。
「ったくムチャしやがって・・・ま、そんなトコもてめぇらしくてスキだけどな」
「え、えッ?!い、今んなこと言わなくても・・・ッ」
特訓中に、不意にそんなことを言われた銀河は普段の集中力はどこへやら。
顔中真っ赤にしてわたわた慌てふためいている。
そんな姿を、キョウヤは構えたランチャーを下ろして手を腰に当てながら溜め息を漏らした。



・・・「君が望むなら何度でも/そんなところも好きだよ」
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せっかく設定しても、鳴らなきゃ意味ないじゃん!
そんな事をぼやきつつ、手元の携帯電話を凝視した。
WBBA本部から支給された専用携帯電話。
色違いってだけであとはみーんな機能は一緒。
キョウヤは渋々って感じで受け取ってたのを思い出した。
オレは苦笑しながら、真新しい携帯電話の表面をそっと指で撫でた。
鳴らないのは特定の相手・・・キョウヤからだけ。
ほかの皆とはそれなりに活用できているんだけどな。



・・・「鳴らない電話」
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(まだ、残ってる)
・・・オレとお前が一緒に暮らしたこの場所。
この一帯の所有者が・・・盾神コーポレーションだったこと。
キョウヤから伝えられたこの事実、それは別れの間際だった。
そっと触れた首元のチェーン。
そこには錆びれることのない小さな鍵も一緒に。
「これは・・・ずっと宝物だぜ?」
・・・あの扉のキー。
「教えてくれなかったのは・・・お前のやさしさだったんだよな」
そう、オレはまだ檻にとらわれている。
キョウヤのオレだけにくれたやさしさ・・・その檻の中に。
「なあ、オレにも・・・教えてくれよ、独りで生きていく方法を・・・さ」
この鍵であの扉を開けそうになる自分を押さえ込んでその場にしゃがみ込んだ。



・・・「やさしさの檻のなか/(まだ残ってる、)/ひとりでいきていく方法をおしえて」
こじつけ感たっぷりの捏造。
キョウヤは大企業の跡取り息子。
最後のバトルの後、二人は別れた設定。
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「泣くな・・・って、泣いてもダメだぜ?」
「・・・ひ、く・・・ぅ・・・でも、止まんな、い・・・」
「オレがひでぇ泣かし方させてるみてぇ・・・もう心の準備ってのは出来たのかよ?」
「ンッ・・・だ、いじょ・・・ぶ、・・・オレ、だってキョウヤ・・・が、好き・・・ッ」
「泣きながら云うか・・・嬉しいけどな」
「だって、・・・オレ・・・こんなこと・・・キョウヤしか・・・」
「知らねぇ、そう云いてぇのは・・・オレも同じだってコト忘れるんじゃねぇぞ?銀河・・・オレだってオトコとは・・・いや、スキになったヤツとは初めて、なんだからな」
「・・・う、ん」



・・・「泣いても駄目だよ/準備はいいかい?/君しか知らない」
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「・・・アイツの脳みそってのを一度開いて中を見てみてぇぜ」
ふとそんなことを思った理由。
銀河と・・・一応、恋人ってのになったオレの占める割合ってのが知りたくなった。
アイツはベイのことになるとオレそっちのけで夢中になりやがる。
まあ、百歩譲ってソレはいいことにした。
・・・オレだって似たり寄ったりだからだ。
そんな中で、ベイをしていない・・・恋人してのオレはアイツにどう想われてるのか。
脳みそン中はきっとベイのことでいっぱいだ。
しかもアイツのことだ、うっかりするとその他大勢の奴等と同等なんじゃないのか?
・・・要はオレがガラにもなく不安になっちまったからだ。
「・・・アイツの世界ってのをオレだけにしてやりてぇ」
そう、これは本気のホンネなんだぜ。



・・・「君の世界を俺だけにして」

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