小咄

□5月小咄。
1ページ/1ページ

NEW!↑

「目隠ししような」
すでに絶頂を迎えた俺の躯は弛緩しててぴくりとも動かせないまま。
「…あ、なに…ッ」
そう言うのが精一杯。
キョウヤは布でオレの目を覆った。
後頭部で結ばれたその布はオレの視界と光りを奪ってしまう。
近くにいるはずの、オレを見ているはずのキョウヤの顔が見えないだけで…怖い、と。



…「目隠ししようか」
---------------
いつものように、いつもの場所。
キョウヤが座ったその足の間にオレは腰を下ろす。
頭に掛けてたタオルわしゃわしゃといいようにキョウヤの手によって髪を拭かれる心地良さを目を閉じて。
「オイ、上向いてんじゃねぇよ、うまく拭けねぇ」
はっとして今度は顔を下にした。
その時、近づいた唇が髪を掠めていったことに。
どきりと心臓が高鳴った。



…「わざとらしく 髪にキス。」
---------------
泣かない、って言ったけど。
「い、たいって言わないなんて言って、ないから…ッ」
辛くて、熱くて奥に響く痛感がオレの神経を苛む。
震える指先で胸に縋るのが今のオレの精一杯。
「痛、いンだ…よ」
「オレの、呼吸に合わせろよ銀河…」
ああ、優しいその声に。
どきりとした瞬間、痛みが快楽にすりかわったのだ。



…「泣かないって言ったけど、痛いって言わないとは言ってないよ 」
---------------
冷めたスープを見ながら、オレは溜め息をつく。
「今日も、帰ってこなかったな…」
いつも思うけど、何のための携帯電話だよって。
「メールぐらいあればオレだって…」
ああ、でもそう言ったらキョウヤはきっと、怒るかな?
女々しいヤツだなお前って。
ううん、怒りはしないけど呆れるくらいはされるかも。



…「冷めたスープ/(そう言ったらきみはきっと、怒るかな)」
----------------

「…あいしてる、そう言えないくらい愛してるんだ」
あの頃、オレは大好きって言葉をたくさんお前に言ったはずだぜ。
でもさ、今はその言葉以上に言いたい…大事な言葉がオレの心と体を満たしているんだ。
早く会いたい。
早く会いに行きたい。
キョウヤはきっとオレを待っていてくれる。
…だからこそ愛してる。
今は言えない、この言葉を。



…「(あいしてる。言えないくらい、愛してる)」
---------------

「(ああ、そっか、知らないうちにこんなにも、)」
キョウヤの姿を知らず追う自分に思わず苦笑しながら、そう心の奥で密かに呟いた。
いつだって囚われの身なのだ、キョウヤにこんなにも自分は。
そんな事を思いながらまた視線をキョウヤへと向けると不意にぶつかり合った瞳にドクンと心臓が悲鳴を上げた。



…「(ああ、そっか、知らないうちにこんなにも、)/いつだって囚われの身」
-------------

「愛してる、って…言って」
欲しい、なんて。
だって好きって言葉はたくさんくれるのにさ。
「オレの方から言えば…くれるのかな…」そうだ、肝心なコト忘れてた。
自分からだってキョウヤに言ってないことを。
「恥ずかしいかなぁ…」
愛してる。
この5文字の言葉を伝えたらキョウヤは…照れてくれるかな?



…「愛してるって、言って。」
-------------

「ンな焦らすな、よ…ッ」
「ハぁ…焦らし、て…なんか −ンあッ!」
ホントはよ、オレの隣でずっと笑っていて欲しいと願った。
でも、それはお前にとってもオレにとっても、決してプラスにはならないことをオレは知ってる。
だから、今…抱いているお前をずっと忘れないように。
この眼に全てを焼き付けてやる。



…「そんなに焦らさないで/ずっと忘れない/ずっと隣で笑っていて欲しい」
-------------

父さんの手からオレの元に来た、このペガシスだってはじめから大空を飛べるわけもなくって。
バトルしながら、修行の中でその翼を大きくして飛び立つことが出来たんだ。
天高く、駆け上るペガシスの姿。
初めてその技を成功したときの感動ってのもまだずっと心に残ったまま。
今は自在にその翼で空を飛ぶ。



…「はじめから飛べるわけもなく」
--------------

「犯しがいがあるっていうのは・・・お前が淫乱ってコトなんだよ」
「ン、うぁッ!あ、あン」
でも、オレはいつも思うことがある。
コイツの躯はオレの欲でいくら塗れて汚れても・・・ココロまでは汚せないこと。
綺麗な心のままだから何度も、何度でも・・・抱きたくなる。



…「綺麗な心、汚れた体。」
----------------

…手を、繋いでもいいかな…。
前を行く背中に隠したオレの素直な声。
声って言っても心の中の、だ。
「わぶ!」
「…ナニよそ見して歩いてやがる、ちゃんと前見てりゃぶつかるわけねぇだろ」
「ご、ごめん」
「後ろじゃなくてこっち来い、オラ」
「へ?−ッ」
出された手にオレは…もちろん、自分の手を重ねた。



…「背中にかくした素直な声/「手をつないでもいいですか」」
----------------

「・・・すきにして、いいぜ」
「お前、本気で言ってンのかソレ」
「ああ、・・・もちろん本気だ」
「へぇ?ならその言葉どおりにしてやる」
「・・・ッ」
「何怖がってンだ?クク」
「こ、怖がってなんかねぇって!」
「じゃあしっかり目ぇ開けてろ」
「 −んッ」
・・・ぱちんッ
「深爪したくなかったら動くなよ?」



・・・「すきにして、いいよ。」
抱きかかえて爪きりってシチュで。
--------------

「嫉妬?は、オレらしくねぇっての」
新しく仲間となったクリス。
ソイツに向ける銀河の笑顔に苛立つものを感じたのは気のせいじゃねぇ。
・・・ヘリオスとか言ったよな?
・・・あン時感じたモノと一緒だったことも思い出しちまった。
ったく胸糞ワリィ。
てめぇの笑顔はオレだけによこせよ、バカ馬。



・・・「嫉妬なんて俺らしくない」

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ