小咄

□6月小咄。
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「また薄荷だよこれ」
カラン、
缶を鳴らして転がった飴の味にどうやら偏りが合ったらしい。
銀河がオレにそれが乗っかった掌を見せてきた。
白い、不透明な飴。
「最後の一個だったのになぁ…さっきも同じの舐めちゃったし…キョウヤ飴いるか?」
そう言って差し出された手の上のものをオレは徐に引っ掴んで。
「…」
銀河があっけに取られたマヌケ面を見せる中、そのまま口を開けて放り入れた。
ころりと転がすと、まごう事なきはっかの味が舌の上を刺激する。



…「はっかの味を舌でころがして」
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「ちょ、何、?」
プールの中で銀河は目の前で同じように潜ってきたキョウヤの姿が自分に近づくのに心の中で慌てた声を出して。
「ッ!」伸ばされた手が銀河の両頬を、水の抵抗の中ゆったりと包んで。
至近距離のキョウヤの口角が上がった瞬間。
「?!」
ぎゅうっと両掌に力が込められ銀河は空気を口から。
「ーーーッ!」
銀河は目を見開いてキョウヤを見るが、酸素を求めた肺が苦しさを訴えるのにその手を無我夢中で振り切って水面へと這い上がった。
「…げほ、−ッ は、あ」
少し遅れてキョウヤも水面に。
「…ふ、ざけるなよ…キョウ、ヤ」
「あのまま溺れさせても…よかったんだがな」
「は?!」



…「ふざけて 両手で顔を包み込む。 」

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