記念ss

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4000hitありがとうございます。



「…もう、驚くようなことはないよなと思いてぇ」

キョウヤは目的地へ歩きながら、そんな事をぼやいていた。
一人、特訓をしていた今日一日。
ちょうど空が闇に染まる、ほんの少し前の時間帯。
たどり着いた廃倉庫の裏口のドアノブに掛けた手を、戸惑いながらも一気に回して中へと足を踏み入れる。

「おっかえり〜vvvご飯にする? シャワーにする?」

その奥から出てきたのは。
手には何故かおたま、飛びつかんばかりの勢いで。
近づいたらスグ目の前でとどめとばかりに上目遣い。

「  それともキョウヤ、オレを食べる?」

前回のあのふりっふりなピンクエプロンをつけていなかっただけマシなだけで。
どこぞの新婚さんに相応しいお帰りの作法の見本のような銀河の台詞と態度に。

ようは、驚いて何の言葉も発せずに身体も固まってしまった状態のキョウヤ。
そんなキョウヤにお構いなしに銀河は、上目遣いのままにその視線を彼に注いだ。

「まどかにもらった本に書いてあったんだけどさ」
これで正しいんだよなッ

銀河の台詞にキョウヤははっとし、銀河の片手に持っていた本のタイトルを確認した。

『これは絶対押さえたい新婚生活のお☆き☆て』

これを見たキョウヤは絶句してしまう。

「   …誰かコイツにまともな教育をしなおしてくれといいたくなるな」

銀河に聞こえないくらいの小さな呟きは、本音の中の本音で。
あんな本を渡したまどかも面白半分だということが、キョウヤには判っているから余計だ。
銀河は、山奥で純粋培養←?で育ったせいか周りの言葉をそのまま鵜呑みにすることがしばしばある。
原因はコイツの父親、鋼流星だとキョウヤは心底思い知らされたのは記憶に新しい。

「結局、何がいいんだキョウヤってば」
早く教えろって

なかなか返事をくれずに、ドアの前から動こうとしないキョウヤに焦れて銀河はむっと膨れっ面になった。
銀河はキョウヤに催促するように、もう一度彼をあの上目遣いでじっと見つめた。
その眼にキョウヤは内心どきりとして、

「  シャワーに決まってンだろ」

銀河に問われた答えを、キョウヤは漸く声に出した。
瞬間、耳を劈く銀河の大声が響き渡る。

「えええ    −ッ」
ソコは お前だ とか言って抱きしめてくれるんじゃないのか?!

よよよと泣き崩れる(大げさに演技をする)銀河に、まだ鼓膜かびりびりしているキョウヤのこめかみにぴきっと青筋が走った。

「んなわけあるかぁ    ッ!!」 
その本に書いてあること全てがおかしいんだッ

銀河に喰らったダメージでキンキンする頭を片手で抱え、もう片方の手、指先でその本を指差した。

「うわッ あんま怒鳴るなよッ毎回近所迷惑だぜ」

「こんな廃倉庫街に近所なんかあるかよ!このバカ馬!!」
さっきのてめぇの声のほうがでかかっただろうが!

「あ、  そーいやそうだな、わりぃわりぃ」
だってキョウヤが本通りに答えてくれないのが悪いんだぜ

銀河はその本を、どっかのジジィの印籠のようにキョウヤの目の前にかざした。
途端に、銀河の手からその本が消える。

「こんなモン、読んでんじゃねぇ!」

バサッ
キョウヤの手によって取り上げられたその本は倉庫に積み上げられている廃箱の上まで投げられてしまった。

「  あーあ、ったくせっかく貰ったのにヒドイぜ」

見えないところに飛ばされて銀河はがくりと肩を落とし、キョウヤを睨み付ける。

「あんな役にたたねぇモン、いらねぇよ」

そう言いながら、キョウヤは銀河に背を向けて奥のシャワーブースへと向かおうとするのだが。
何故か、銀河が後ろから付いてきた事を怪訝に思い足を止めキョウヤは振り返ると。

「んじゃ、早速流しっこしようぜ!」
ちゃーんと泡立つスポンジとかも買ってきたからな

またもや、銀河爆弾大暴走。
ほら一緒に入ろうぜ、後ろからキョウヤの腕を掴んで並んだ銀河の無邪気な笑顔にキョウヤは頭の天辺から突き抜ける大声で怒鳴った。

「   あんな狭いとこに二人で入れるか   −ッ!」
しかもなんだその泡立つスポンジって?!

「え、妻は夫の背中を流したり身体洗ったりしてあげるんだよな」
泡立ちいいタオルとかで泡だらけになって洗い合うんだろ?







結局一人でシャワールームにキョウヤは入れたのか入れないのか。

何故かシャワーだけで逆上せてしまったキョウヤを介抱する銀河の献身的な姿があったらしいことを追記しておこう。






え、これがオチ?
終わってくれ。


2011/9/23
4000hitありがとうございます。
本当に嬉しいです。
駄文ばっかりのサイトですがこれからも盾銀愛で頑張りますv


記念ssのキョウヤは怒鳴ってばっかり。
血圧高そうです…。


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