記念ss

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同じ、石鹸の匂いがする。

日常で、ふと感じたそんなこと。

増やされた荷物は数えくれないくらい。

お揃いとかいっていつの間にか並べられた色違いの歯ブラシとか。

最初は勢いだけの同棲生活(新婚生活?)が、いつしか心地よいものになったのは。

きっと。

銀河、お前の頑張りだったのかもしれない。

そんな事を思い始めた、ある日のこと。






「もー。オレがいないとちゃんと食べないんだから、  キョウヤ?」

「  銀河  ?   何かイイ匂いするな…」

「もう夕方だぜ。オレが一日ちょっといなかっただけで、ここはこーなるんだなって実感した」

「   夕方?   あー  昨夜はベンケイと夜通し特訓しに行って帰ってそのままに   」

「やっぱりそんなコトだろーと思ってたけどな。ゴミ片付けるからそこ動くなよ」

銀河が父親である鋼流星の住んでいるマンションへ行ったのが昨日の朝。
前もって、この日は泊まって次の日の夕方ごろに帰るとキョウヤに銀河は話していた。
そこへちょうどよくベンケイが訪ねてきたのは、銀河が出かけた後のこと。
いい機会だ、そう思ったキョウヤはさっそくベンケイを連れてウルフキャニオンへと向かったのだった。

「   腹減った  」

一応はベンケイの用意していたおにぎりなどを摘んではいたが、先ほどから香る匂いに胃が刺激されていて。

「ここ片したら、すぐ食べれるぜ。待ってろって」

ソファで寝転がったままのキョウヤを横目に、銀河は散らかったものをてきぱき仕分けして綺麗にしていく。
ちなみに、エプロンをしているが例のあのひらっひらのフリル付きじゃないものだ。
銀河の働き振りをキョウヤは何も言えずに、じっと見ていると。

「さてと、こんなモンかな」

ゴミはゴミ袋へ、脱いだままの衣類はまとめてられていてこれから洗濯機へと放り込まれるのだろう。
キョウヤの周りは、銀河がいる時のいつものようにきちんと片付いていた。

「ベンケイにも言われていたけど、キョウヤって一人だとホント何にもしないよな」

「    ああ、  そういや、  そうかもな」

首狩団の溜まり場だったここには、必ず誰かしら訪ねてくるし何かに困ったことはなかった。
無関心もしくは無頓着。
その一言が、キョウヤに当てはまる言葉だったのだ。

「   まだ寝たりないのかよ、キョウヤ」

ぼーっと、昔のことを思い出していたら銀河が膝を屈めてソファに寝ていたキョウヤの目線と同じ高さに。
近いその鳶色の強い瞳に、キョウヤは思わず息を呑んだ。

「何驚いてんだ?  腹減ってるんだろ、すぐ用意するからさ」
その上にあるレオーネと工具、片しとけよ

特訓後、簡単なメンテナンスをした後、廃箱に置いてそのままにしていた彼の愛機を指差す銀河。
銀河は立ち上がりゴミとか洗濯物を両手に抱えるようにして奥へと歩いていく後姿を、キョウヤはソファから起き上がったところで見えた。

「  片さねぇと、な   」

キョウヤはそう言ってレオーネを手に取り、散らかした工具類を足元に投げ出されたままの工具箱へと適当に入れる。
工具箱を持ち、立ち上がって銀河がいつも置いてある場所へと向かった。

「ずいぶんと様変わりしたよな  この、倉庫も」

工具箱を端に置き、床に投げ出していたはずのホルダーとベルトをその場で見つけるとレオーネをホルダーへと収める。
周りを見渡すと、やはり以前の雑然としたカンジとは違うこの雰囲気に口許を緩めた矢先に。

「おーいキョウヤぁ  片付け終わったンなら運ぶの手伝えよー」

突然奥から響いた銀河の声。
こっちの様子を伺ってるわけではないのに、片し終わったと同時に聞こえたその声にキョウヤは小さく溜め息をついた。

「オレの行動パターンはお見通し   てか、銀河」
それも悪くねぇ、そんな事を思うあたりあの銀河を己の懐の奥深くまで入れ込んでるってワケか、オレは。

しかし、続いた銀河のセリフにキョウヤは眉を盛大に顰めた。

「早くメシ喰わないとエッチする時間がなくなっちゃうぜ!」
丸一日抜いてねぇだろ、オレも早くキョウヤとえっちしたーいッ

「  は、恥じらいってモンをいい加減、わかりやがれ   ッ!!」
お前は毎日ヤらなきゃ気がすまねぇのかッ



ちなみにいい匂いのした夕飯のおかずは、うなぎの蒲焼であったことを追記しておこう。






2011/11/18
6000hitありがとうございますーッ
サイトに来ていただける皆様に感謝です。
駄文ばかり増やしていますが、これからも愛で!
もっとこの二人の話を書き綴っていきたいです。
あーもー好き好きv

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