はーと物語T

□はーとに
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HRが終わり、次の授業の準備をしていると後ろから誰かに抱きつかれた。
いや、誰かは想像つく。だって…

こんなにシャンプーの良い香りがする奴は、俺は他には知らない。
それに、俺はこの香りを気に入ってるし。



「どないしたん?」



俺が振り返ると、翼は満面の笑みで

『俺の“お気に入り”を見つけた』

と、俺に言った。



翼は気に入った奴以外には冷たい態度だが、気に入った奴には笑顔だし、優しくする。

今のところは、白石に俺、ユウジに小春、それに銀、そして今言った奴位だ。



謙也「で、そいつってどういう奴なん?」



そう言うと、翼は俺の机の前に移動し

『黒髪に耳にピアスを5個つけてる』

と、言う。


ん?黒髪に…5個のピアス??
もしや…



謙也「そいつの名前"財前光"とちゃう?」



翼はキョトンとした顔になり、俺に『何で知ってるの?』と、言ってきた。



謙也「それは「部活の後輩やからや。」



俺が話そうとしたら、ちょうど来た白石に邪魔された。

白石は翼のところに来て頭を撫でる。


翼は気持ち良いのか、猫の様に目を細める。



白石「なんや。光の事気に入ったん?」


『ん〜?愛の告白されちゃった♪』



そう言う翼は、ニコニコと俺の手に指を絡める。

あ〜…ほんまに可愛いな、翼は。


白石もそんな翼を愛しそうに優しく見つめる。
多分、俺もこんな顔しとるんかなぁ…。


そんな事考えてたら、ふと、先程の翼の言った言葉を思い出す。

多分白石も同じで、俺と視線がかち合う。



白石「……。ん、待て待て…光が?」


謙也「愛…の、告白?」


『ん〜♪‥あ、でも好きになった“みたい”だからね?み・た・い』



光との会話を思い出したからか、翼はクスクスと微笑する。


あの人を寄せ付けず、無表情で毒舌の光が愛の告白をしたのが今だ信じられない俺と白石だった。


しかし、俺は改めて心に誓う。

翼を絶対に振り向かせると…。


そんな俺の心を見透かした様に翼は、今だ繋いだ手に力を込めた――…。






続く
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