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□06 ともだち100にん、
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※志摩視点
今日は入学式やから、新一年生が仰山おるわ〜
やっぱり東京の女の子はオシャレでかわええなぁ〜
京都の女の子もおしとやかでええけど、
東京の子は髪も染めてメイクもばっちりでモデルさんみたいや。
「坊、子猫さん、やっぱり東京の女の子はかわええなぁ〜」
同意を求めるように俺の後ろを歩く二人を振り返ると、背中に小さな衝撃があった。
『あべしっ!?』
…あべし?……新しい悲鳴やろか?
それは置いといて、倒れて怪我をさせてはいけないので、咄嗟に肩を掴むと同時にその小ささと細さから女の子だとわかった。
「堪忍な!怪我はなかっ……」
ここまで言って初めて彼女の顔を見ることができた……が、
なななななんや!
めちゃめちゃ可愛ぇ!
色白やし肌綺麗やし、
アイメイク全然濃くないのにぱっちりしててちょっと紫がかった大きな瞳!
今時珍しい黒髪!
どこの子なんやろ…
こういう女の子を
きっと大和撫子って言うんやろなぁ…
京都からきたのにまさか東京来て出会えるとは…
どないしよ…
口が動かへん…
今まで何人の子をナンパしてきたんや志摩廉造!!
なんか喋れ!!
思考回路を巡らせ葛藤してる間に女の子は何か言ってお辞儀して去ろうとする。
あかん!名前だけでも…
「俺、志摩廉造や!君は?」
やっと言えた言葉がこれか…
情けないわ〜
『あ、紫淡侑花です!…ではまた!』
行ってしまった…
「ふふふ…聞きました?ではまた!ですって〜」
「あんなんただの社交辞令やろ。」
「またぶつかるから前見て歩いた方がええよ。」
「二人とも冷めてはるなぁ。………にしても…いやぁ、侑花さん可愛えかったなぁ。」
また逢えるかなぁ…
次逢うたら、メアドゲットして、クラス聞くんや!
ほんで毎日逢うんや!
「へへへ〜。
入学早々ラッキーやなぁ〜」
そう呟くと坊と子猫さんのわざとらしいくらいの大きな溜め息が聞こえましたとさ。
おしまいや。