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□てれぱしー?
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「美味しい?」
『うん!!!んふふ〜』
「よかったよかった。」
優しい笑顔の雪男君にたずねられ、自然と笑みがこぼれてしまう。
少し歩いて川沿いの公園に着いた。
人は沢山いたが、ベンチは空いていた。
皆立って花火見るのかなと思いつつ腰を下ろす。
『あっ!!始まったよ!!』
「ほんとだ!」
いつの間にか私達はベンチの上に立っていた。
背の高い雪男君はベンチに乗る必要はなかったのかもしれないけれど、私にあわせてくれたのかな、と、
あまりに雪男君が優しいから自惚れてしまう。
花火を見ている間、言葉はあまり交わさなかった。
というか交わせなかった。
きれいだねー、すごいねー、と、つい零れてしまう台詞に互いに頷くくらいだった。
それからどれくらいが経っただろう。
ついに最後の花火が打ち上がり、歓声のあと皆はぞろぞろと帰っていく。
しかし私は、もう終わり…的な雰囲気に逆らいたくて、ベンチに座りつづけた。
雪男君も隣で座ってくれていた。
その優しさが嬉しくて余計に帰りたくなくなる。
始終繋いでいた手に力をこめてみるが、雪男君の大きな手にすっぽりと収まっているためそれほど力が入らない。
すると雪男君の方から手をギュッと握ってきてくれた。
「まだ帰りたくないね。」
『うん…』
「……それじゃあ、あと15分だけここにいようか。」
『…っ、うん!』
雪男君からの提案が本当に嬉しくて、ちょうど良い高さにある彼の肩に頭を寄せると雪男君の頭が私の頭に乗っかってきた。
その重さがまた心地好くて、
………あぁ、
「『好き。』」
おわれ。