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□マッチ棒。
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今日は待ちに待った花火大会である。
お相手は一応恋人である志摩とだ。
しえみちゃんや勝呂君達と一緒でも楽しそうだなと思うが、
「俺ら恋人やないですかぁ〜。二人っきりで行きましょうよー!!」
と必死にせがまれやはり志摩可愛いなぁと思い、二人っきりで花火大会に来た次第だ。
まぁ塾仲間とはいつも一緒だからたまには恋人らしくってのも悪くないかな。
待ち合わせ場所に着くと志摩がいた。
まだ約束より10分前だから私が待つことになるだろうと思ってたのに、意外と真面目なんだなぁ…
こういうギャップに惹かれたのかもしれないなぁ…って何考えてるんだ私!
『志摩ぁ〜。早いねえ。』
「当然や……って侑花っ!!浴衣やん///めっちゃ可愛ええよ〜」
『え、あ、ありがとう///てかあんたが浴衣着てきて〜!って言ったからじゃない!!』
「えっ、じゃあ俺のため?嬉しいわぁ。」
調子に乗るなっ!と志摩の腕を叩き先に人混みの中へ入っていった。
迷子になりますよ〜と私の手をとり、やっと恋人同士らしくなったかな?
『ていうか志摩、約束の時間よりどれくらい前に着いたの?』
「ん?あぁ〜。そういうのは女の子は気にせんでええんよ。」
『いいじゃん別に!減るもんじゃないしw』
「減るもんて……待っとるんが彼氏の役目や。侑花が俺より早く着いてそこらの兄ちゃんにナンパされとったら…って考えたら早く着いてしもた。そんだけや。」
ちらっと志摩の方を見たら、
「な!」って言って私の方を見るから、志摩の太陽みたいな笑顔を直視してしまった。
『なんやねん!』
「ちょ、侑花?なんで関西弁なん?」
『うつったんよ!私に伝染しないでくれへるん?』
後半もはや何処の人間やねん!と志摩につっこまれ
しかし手はしっかり繋いだまま志摩の前をずんずん進む。
きっと今、顔真っ赤だなぁ…絶対志摩に見られたくない。
『ちょっと志摩。チョコバナナ買って来てよ。私待ってるから。』
「嫌や!!」
『私も嫌や!!』
「侑花を一人にしたら絶対ナンパされるやん。だから一緒に買いに行こうや。」
『される訳ないでしょ!大丈夫だからお願い買って来て!』
「はぁ…ほんまにそこから一歩も動いたらあかんよ!」
やっとこさ諦めてチョコバナナを買いに行った志摩は途中でお母さんみたいに念を押した。
…ふぅ。いまのうちにとほてった頬を手で扇ぎ冷ます。
ここで私がナンパされるなんてベタな展開はなく、志摩は無事チョコバナナを2本取り、お金を渡す。