short
□マッチ棒。
2ページ/3ページ
「あれ〜?一人?俺らと一緒に回らない?」
ベタな展開キター。
突然腕を引っ張られ話しかけられた。
なんて品のないチャラ男組。イケメンじゃないチャラ男なんて先端のないマッチ棒以下だ←なんのこっちゃ
『やめてください。一人じゃありませんので「なにやっとんねん。」
志摩登場。
「あぁ!?なんだテメェ!!」
キレ方もベタ。
「俺はこの可愛い女の子の彼氏です。可愛いやろ?この可愛さに免じてお引き取り願いますわ。ほんまに堪忍してくれはりますか?」
………なんというか、志摩らしいw
品のないチャラ男組も拍子抜けしたのかつまらなそうに去っていった。
「……ほらみぃ!!ナンパされたやん!だから嫌やったんや!」
『ごめん…』
予想以上に凹んだ私にびっくりしたのか、焦りだした。
「あっ、いや、でもまぁ、今回は俺の巧みな話術で一件落着したから気にせんでええよ!ほら!チョコバナナ食べ。」
『あれ話術だったの?……でもまぁ……ありがとう。』
チョコバナナを食べて再び侑花に笑顔が戻り安心した志摩はまた手を繋ぐ。今度はしっかり指を絡めてきた。
「おっ。もうすぐ花火はじまりそうやね。どっか座ろか?」
川沿いのベンチにたどり着き、腰を下ろした。
『ここからならよく見えそうだねぇ。』
「ナイスチョイスやろ!」
そう言ってキラキラ〜っという効果音が聞こえてきそうな笑顔を向けてきた。
ほんとに志摩は癒しだなぁ。と思っていると花火が打ち上がり、音の振動に心臓を殴られた感じがした。
『わぁ〜〜!!キレイだねぇ〜。』
「そうやねぇ。でも侑花の方がキレイですよ。」
『…っ/////』
アホか!と志摩の肩を頭突きした。
そろそろ志摩のこういうノリにも慣れないと。心臓がいくつあっても足りない気がする…
痛いわぁ、と繋いでいた手をほどかれ名残惜しげな私の右手と志摩の右手が繋がれた。
…考える間もなく空いた左手で私の肩をぐいっと抱き寄せ、志摩の大きな手が頭に乗せられる。
「こんなら頭突き出来ないやろ〜」
頭上から勝ち誇ったような声が聞こえてきて、反抗するのは諦めた。
志摩の肩に頭を預けると優しく撫でてくれる。
彼の大きくてあったかい手が好きだ。
もちろん志摩も。
このまま時間が止まればいいのにと思う。
志摩も同じことを思ってくれてるのかな。
触れている所から伝わってくる志摩のぬくもりを忘れないように。
二人っきりで来れて本当に良かったなと今更志摩に感謝した。
終わり
あとがき→