英西
□チェックのマフラー
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綺麗な翡翠色の瞳が、暗く濁ったように見えたのは、俺の気のせいだろうか。
「べ、別にそんなことは言ってねえよ!とりあえず、ほら、巻いとけ!」
「…」
この沈黙が怖い。俺に半ば、いや、完全に無理矢理マフラーを巻かれたカリエドは、何を考えているのか、上を向いて空をじっと見つめている。
気まずい。でもこんな空気にしたのは俺だから、なんとかしなければ。
「やっぱり今日はいつもより寒いかもしれねえな、うん」
「…へぇ、そうなん」
「今日食った昼飯、あれは美味かったよな!」
「…へえ、そうなん」
「…お前って馬鹿だよな」
「…へえ、そうなん」
…駄目だ。もう耐えられない。
相変わらず空を見上げている彼の左手を、想いきり掴む。
こちらを向いた翡翠の瞳は、何が起こったのか分からない、と言わんばかりにきょとんとしていて。
それが俺にはますます腹立たしくて。
「…おい!!さっきから一体何なんだよ!言いたい事があるならはっきり言えばいいだろ!」
「…雪、降らんかなー思て。俺、雪見たことないんやー」
どうしても見とおなって、ずっと空見てたんやと、無邪気に笑うカリエド。
そういえばそうだった。こいつは昔から、「空気を読まない」ことで有名だった。
少しでも本気で悩んだ自分が恥ずかしい。
一発殴ってやろう。そう思って拳を固めた刹那。
「雪が降ったらな、こうしたかってん」
「え、なにを…っ!?」
「〜!あんまりこっち見んなや眉毛!!」
俺の首には、さっきこいつに貸したはずのチェックのマフラー。
すぐ隣には、やけに近い顔。
これって…つまり…
「…マフラー、2人で巻いたってええやろ。今は雪が降ってるんやから」
顔をトマトのように真っ赤にさせてそっぽを向くカリエド。
その仕草があまりにも愛おしくて、思わず。
「I love you,Antono.」
(マフラーに隠れてキスとか気色悪っ!何夢見とんねん!)
(なっ…!最初に誘ってきたのはお前だろ!マフラー2人で巻くとか、なんの少女漫画だよ!)
(へーえ、その割りにはノリノリやったけどなあ?…てか、さっきから顔トマトみたいやで?)
(さっ寒いからだよ馬鹿!…お前だって真っ赤になってんぞ)
(おっ俺かて寒いからや!勘違いすんな!…アーサー)
嵐の「チェックのマフラー」って曲を聴いていたら浮かんできた英西ww
付き合って間もない…というか、まだ付き合ってなかったんですが、眉毛の理性が吹っ飛んじゃったんですね(^p^)
まあ、両片思いだったので結果オーライってことでいいんじゃないでしょうか(笑)