青エク

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そして、一話冒頭に戻る。


ポケットに手を突っ込んでみたら冷たい感触があった。


『ん・・・?鍵・・・?』


[我が可愛い娘へ☆
一緒に行きたかったけど、大変な仕事で一人でいかせてごめんネ
今日から寮暮らしで私寂しいです(泣)
見た目は少しひどいですが桃の部屋はちゃんとキレイにしておきました♪
お隣さんがいるから挨拶を済ませておいてくだサイ☆
それと、学校が終わったら鍵をつかって塾にいってくださいネ〜
困ったことがあればすぐ連絡するんですよ!?
では、可愛い娘よ、頑張ってネ
メフィスト]



いかにもメフィストさんらしい字で星やらいっぱい飛んでいる


『あ、いっけない・・・遅れちゃう』



メフィストさんの手紙で足を止めているとそろそろいいくらいの時間になったから
早足で大講堂へ向かった。




入学式は、いくら正十字だからといって、普通の学校となんら変りない。


メフィストさんの話を少しうつらうつらしながらも聞き、
そろそろ終盤かと思われた。



「―新入生代表、奥村雪男」
「はい!」


堂々と返事した彼の名前に、かなり違和感を持つ。


どこかで・・・聞いた・・・



―僕は奥村雪男です、よろしく


あ、そうだ・・・

私はあの時、彼と、燐といったお兄さんと暮らしていた。
すごく、すごく幸せに。


私が南十字院を出てからしばらくして、
かつて、私の父親だった獅郎さんが亡くなったとの知らせを受けた。


獅郎さんは、今でも親だと思っている。


そういえば、燐と雪はあれからどうしたのだろう




「―新入生代表、奥村雪男」


拍手が起こる。
聞いてなかった私は周りの拍手に一足送れて拍手を送った。



入学式が終わり、自分のクラスに向かう。


『特進の、A組・・・A組・・・』
「どうしたん?」
「ちょ、志摩さんまた女の子に声かけて!」


目の前には、ピンクめいた頭のにこにこした人と、
坊主頭で眼鏡をかけた小柄の人と、
長身のトサカ頭とでもいうべきか、イカつそうな人が。


『あ、ぅ、』
「悪いもんちゃうでー?さっきからここ迷っとるみたいやけど、」
『あ、の・・・A組がどこかわかんなくて』
「A組?それやったら坊と一緒やで〜」


羨ましいなぁ坊、と志摩さんと呼ばれた人は長身のトサカ頭の人の背中を叩く


「知らん。お前も誰にもかしこにも声かけなや」
「や〜、堅いで、坊!ごめんな?怒ってるわけちゃうんで?」
『く、クラス教えてくれてありがとうございました』


怒ってるわけちゃうって、完全怒ってますやんかああ!

こりゃダメだと、颯爽とA組に向かっていった



特進クラスのB組で”奥村雪男”をみつけた。


(・・・似てる)


周りにはハートが散らかった女の子がいっぱい群れていた。


「そこ、邪魔なんやけど」
『あ、ご、ごめんっ』


先ほどの坊くんがクラスについたみたいで、
身長が低い私は見上げなければ顔は見えない。


けど、見ようとはしない

だって、怖いじゃないですか。
い、いや見た目で決めちゃいけないのはわかってるけど・・・


どう考えたって不良にしか見えないのは確かだ。



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