SS.

□my girl
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Risa side




朝起きるの私の首元に顔を埋めて寝る朔がいて、その暖かさに顔が緩んだ。



『朔ちゃーん起きて』



『んん、もーちょっと、、』



私が呟くとまだ寝ると言わんばかりに白くて長い腕が私の身体に巻きつく。



本当に可愛い。私と朔は元はと言えばモデル友達。右も左もわからなくて人見知りをする私に人懐っこく話しかけてくれたのが朔だった。

歳は朔が1つ下だけど、モデルとしては先輩で、そのルックスとスタイルはどこの誰が見てもピカイチ。
ストレッチくらいしかしないという朔の身体は脂肪も無駄な筋肉も削ぎ落とされていてこの職業につくためだけに作られた身体みたいだった。




朔の長い髪を撫でながら眠たいとしかめる顔を見つめる。
まつげも長くて鼻筋の通った綺麗な横顔に私はまた幸せを感じる。




『朔、今日握手会なの。もう行かなきゃ。』


『………んー。』



巻きついた腕をほどきながら私はベッドを出て準備を始めた。


よし、今日はこれにしよう。
私は朔から貰った服を着る。身長も同じくらいだからか、朔はよくプレゼントしてくれる。この服はショートの子の方が似合うとか、理佐の顔の方が似合うとかいろんな理由をつけて。



『りっちゃーーん。』


準備もそこそこに、よし、あとはタクシーを待つだけと思ったとき、寝室から可愛い声が聞こえる。

私は小走りで声の主のもとへいく。




『ふふ。ワンちゃんみたい。』


『うるさいなあ。おはよ。』


行くと、ベッドで携帯をいじる朔がいて、私を見てワンちゃんだねなんて笑う。



『ん!理佐』


『はいはい』


毎朝恒例の、ばっと両腕を広げる朔の胸に飛び込んで数秒抱きしめられる。

いつしかこれは理佐のチャージだからなんて言ってたっけ。



『今日握手会なの?』



『うん。』


あのときちゃんと起きてたのかと私はびっくりした。
抱きしめられたまま朔の顔は見えないけど、きっと渋い顔をしてるはず。



『複雑〜』


『またー?』


朔は私が握手会に行くのをいつも嫌がる。アイドルなんだから、しょうがないしこれが仕事だし、、と伝えたことはあるけれどそれが朔のモヤモヤを解消することはない。



『なんでやなの?』


私は時計をチラッと見てまだ少しイチャつけるなと思って聞いて見た。
前もこの答えだけは教えてくれなかったから。



『だってさー、色んなこと言われるんでしょ?セクハラ見たいな。あと触れなきゃいけないでしょ?やじゃない?』


まあ、そういうこともあるけど、多分朔も1度だけしたというフォトブックのお渡し会でそういうことを言われたんだろう。


朔は少し潔癖症みたいなとこがある。だから男の人が苦手だし、綺麗なもの美しいものが好きだから、女の子が好きという。


『んーーまあ、そんな人ばっかりじゃないよ?』


私は狼狽える目の前の人をなだめようと回した手で背中をさする。


『ほんとー?』


『んー本当。かなり自動的に剥がされるし、そこまでじゃないから。』


『わかった。』


朔は渋々納得して、身体を離す。そしていつものように私の口にキスをする。




『ふふ、じゃあ行くね。』


『頑張って!なんかあったら言ってね!励ますから!』


『そこは励ますじゃなくて助けるじゃないの?』


『だって私より理佐の方が強そう』


『まあ確かに。』


朔は寝起きとは思えないほど綺麗な笑顔で私を見る。



『じゃあね。』


『うん!いってらっしゃい』




そうして私は家を出てタクシーに乗り込んだ。





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