SS.
□本音
1ページ/3ページ
『理佐、今度デートしたい』
『うん。しよ?』
『きまりね。』
夜たまたま早く帰ると朔も帰っていて、ベッドの中でいちゃついてた。
すると、私の鎖骨に口つけながら朔はデートのお誘いをしてくれて。
『4か5の夜はどう?』
『5日にしよっか。』
と、珍しく日にちまで決まった。
そのまま朔は私の鎖骨をペロッと舐めるから、ちょっとだけ声を出してしまって、朔に笑われる。
なんだか今日の朔はおかしい。
こんなになんだろう……積極的なのは、初めてのことで、嬉しさとドキドキが私の中でいっぱいになる。
『朔?』
『なに』
『どうしたの?』
朔を抱きしめて聞いてみる。
いつものストイックでぶっきらぼうなあの子が今はいない。
朔は、ふふっと口角をあげるから、やっぱり誰よりも綺麗な顔だと再確認した。
そしてその薄い口が開いた。
『明日確定になるんだけど。映画の主演決まったの。』
朔は今年から本格的に女優業をやると事務所に言われたと言っていたけど本当に主演を決めたらしい。
『え、おめでとう。頑張ってたもんね!』
年が明けてからいろんなオーディションをうけていて、誌面ではもう表紙を飾るし、ランウェイでもトリを飾るからすぐに女優デビューするとは思ってたけどまさかこんなに早いとは思わなくて私は素直に喜んだ。
そして、少し。朔が遠い存在になってしまうなと思った。
『だから撮影入る前に理佐とデートしようかなって。』
『ありがとう。嬉しい。』
朔は私の首元で大きく息を吸い込んで小さく理佐の匂い好きなんて呟くから、大丈夫、私は愛されてるなと幸せに思う。
『それでなんだけど、』
と、朔は言いづらそうに口を開く。
そして、その映画の内容を話してくれる。それは有名な少女漫画原作で、青春映画。
主演ということは、もちろんキスシーンも少しのベッドシーンもあるらしくて。
『相手は誰?』
そう聞くと今1番売れてるだろう俳優さんの名前が出てきて。
イケメンだしメンバーでも好きだという子もいるし、青春映画にもってこいだろうと納得できる。
朔は私の顔を伺う。
だけれど、ずっと演技レッスンを頑張ってたのも知ってるし、必ず朔はもっと有名になる人だから、私は応援したい。
『頑張ってね?応援するから。』
朔はホッと胸を撫で下ろしたように柔らかい表情になって、キスをしてくれた。
→