SS.

□本音
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Risa side



すごく嫌だった。
朔のファンだという男の人。朔の腰に腕を回して写真まで撮ってて。



『理佐ぎゅーして』

『うん。』


帰ってきて朔は私の中でぐったりしてる。
そうだよね。明日からクランクインなのに、こんなことになっちゃって。


『やっぱり、家がいいかも。』

『ん?』


私にくっつく朔はすりすりと顔を寄せる。


『理佐と外歩くの楽しいけど、私はね、知らない人に理佐を触られるのいやだ。今日のでわかった。もう本当にいやなの。』


朔はそんなことを言う。けど私だって嫌だし。朔が声かけられるのも、写真撮られるのも、


ハグするのもキスするのも。


ずっと黙っているけれど、明日からの映画の撮影だって本音を言えば私は嫌で。なにがイケメン俳優だよと心の中で何度も相手をディスった。





『私も、、朔の相手がどんなにイケメンでも嫌だよ。』


とちょっと、皮肉っぽく言って見た。


『イケメン?………あ。』


朔はわかったみたいで、黙り込む。


『ごめん。言いたくなかったんだけど。』



私は朔から離れようとする。
だけれどそれは阻まれて、細い体に押し倒された状況になる。


上から朔に見下ろされるのは初めてで、何だか恥ずかしい。


『理佐が1番好き。』


『うん。』


『他の人なんて全部苦痛だから。仕事だから頑張るだけだから。応援して?』


『うん。』


朔はいつになく真面目な顔をして私にキスをしてくれる。

私はたぶん朔の映画を見るには色々覚悟を決めなきゃと思って唇のその温度を確かめた。




『柔らかくて気持ちい』

『なに急に。』

『んー?前から理佐の唇柔らかいなーって思ってたの。』


『もう。なんなの』


私はへへへと笑う朔を引き寄せる。



すると朔は私の耳元に顔を埋めて、ねえねえと言ってくる。


そして


『理佐と、えっちしたい』


と息を飲む音が聞こえて。



明日大事なクランクインだけどいいのかな?と思ったけれど、そんなのどうでもいいくらい、私の身体はもう朔を欲していて。


朔の服に手をかけた。


それを見て『理佐わんちゃんだね』と

いたずらっぽく笑うその子を

絶対離せないなと確信した。





end


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