SS.

□alcohol
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Manaka side





朔が怒ってる。


そう思った。朔はどうしようもない時、わかるように距離を取る。




高1のとき、学校で1番美人な先輩として有名だった朔が愛佳に声をかけた。清楚系だと思われていたのに、ちょっと遊ぼうよなんて言うチャラいところに惹かれて、顔もスタイルも良い朔にすぐに夢中になった。



だから朔の卒業後追いかけて東京に住めると、アイドルになったのに。


大学、社会人になった朔は、そこら辺の人とは違っていて、より綺麗になって友達もたくさんいて、高校時代より、心配事が増えた。






『愛佳でたよ。』

『うん。』



シャワーを終えた朔は声をかけてくれて、笑いかけてくれる。


怒ってたのに、すぐに機嫌を直す朔はやっぱり私よりも大人で、いつも喧嘩をしても最後まで拗ねるのは私だった。



朔は酔い覚ましと、水をぐびぐび飲んでいて、白い肌とか首筋とか全部女の子ぽくて触りたいと思っちゃう。



『朔、ごめん。』


『ん?』


『せっかく会えたのに、色々言っちゃって。』



『はは。愛佳も私に惚れてるんでしょ?』


朔は綺麗に笑ってキッチンから私の元へ来て腕に絡みつく。



『………朔のこと好き。不安になるくらい。』


愛佳ばかりが言ってる気がするけれど伝えたくて。だけどきっと朔は適当に流すんだろうね


『告白?ありがと。』


そうして頭を撫でてくれる

ここまでがいつもの流れ。いつも好きだと伝えてしまう私にありがとうと言ってくれるのが朔だから。



だけど今回は違ってた。


『私だって不安なんだからね?』

と、いう言葉が朔から漏れる。
愛佳年下だし、アイドルだし、と少し恥ずかしそうにいうから。

どうしたの?やっぱり酔ってるのか。



『余裕かと思ってたんだけど。』

私はなんだかいつもと違うその返答にドギマギしてわざと朔の手をいじる。

そしてそれを見てふふと笑った朔は、

『まじで、愛佳を傷つける奴とか、イヤラシイ目で見てる奴はぶっ飛ばしたいんだから』


なんて汚い言葉を使うから、
私の口の悪さも朔のせいかもしれない。










『ねえ、ちゅーしたい。』


『え?』


ファンに対して文句を言う朔はどこかにいってちゅーしたいとかいうから、私はぽかんとした。


『いいでしょ。彼女だよ?』

『うん。』


そして急に色っぽく変わる声に
有無を言わさないその表情に
私はベッドに押し倒されてキスされる。


ちゅっちゅと唇を啄まれては、
にこって笑うから、
なんだか焦らされてる気分で。








『ねえ、朔』


『ん?また告白?』


なんて目の前の綺麗な顔はいじわるっぽく笑う。けど、そうじゃなくて、、。



『……ちゅーだけじゃなくてさ。』


『ん?なあに?』


はあ。ぜったいわかってるのに。


『………したい。』


『うん。その気だよ。』



そうして朔は深いキスをしてくれた。


そのキスは、少しお酒の匂いがして、
朔を奪う大っ嫌いな飲み会もたまには許してあげようかと思った。



end


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