SS.

□片想い
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『理佐!』


『わ、朔、さん。』


『後で一緒に歩こう?』


今日はGirls Award
もちろん好きな人、、朔もいるわけで。廊下ですれ違ったときに声をかけられた。


けれど、乃木坂の1期である朔に私は普段声をかけられなくて、こういう同じ現場のとき、どうやって顔を合わせばいいのかわからないのだ。



フィナーレは一緒に歩こうねと言うけれど、グループで固まって歩く朔に私は近寄れるわけもなくて結局今日話せたのはあの2.3言だけだ。











『理佐、おつかれ。会いたくて来ちゃった。』


『ほんと?ありがとう。朔もお疲れ。』


朔は言葉のチョイスまでアイドルだと思う。普通だったら照れて言えないことを普通に私にも言ってくる。


だからみんな勘違いしちゃう。
自分の朔への想いに気づいた頃私はアイドルの朔をみて酷く凹んだ。




朔との出会いは高校。
欅に入ってすぐ転校した東京の高校には、乃木坂の方達もいて、アイドルとして出会うより前に同級生として出会った。

朔は同じクラスで欅というだけで、よろしくねと一番に声を話かけてくれてそこから、なんとなく2人でいる。別に理由もなく、きっと向こうからすれば後輩であり友達 そんな感じ。




『今日乃木坂さんのセットリストすごかった。』


『ね。トリだからってスタッフが決めたから、売れた曲ばっかりだったの。』


今日朔はセンターで踊ってた。あの曲私は好きだけど。朔は可愛すぎて無理。と言う。


そう言って私んちのソファで伸びをするからなんか変な感じがした。高校の頃はたまに遊びに来てたけど、こうやって家に朔がいるのって久しぶりだ。





『あ、あとごめん。最後理佐のとこ行きたかったんだけど、まいやんに捕まっちゃった。』


『うんいいよ。』


『なんか、理佐とこうやって同じとこで仕事するの私すごい嬉しくて、だからテンション上がっちゃった。』


『なに、どうしたの。』


『いいじゃん。本音だもん。』


朔は乃木坂の1期の中ではやっぱり年下扱いをされていて、よくいじられてるし何よりその環境だからか甘えるのが上手い。

けれど同い年の私は欅では年下ってわけでもないし、甘えるとかそう言うのがそもそも苦手。しかも私よりも年上のメンバーに自分が甘えているところは想像もできない。









『明日何時から?』

『11時かな』

『じゃあさ、朝活しよ?』


朔は携帯を取り出して、行きたい店を私に見せる。


『朔は何時からなの?』

そう。私よりも仕事が忙しそうな朔が明日休みなはずもない。そう思った。


すると、天気予報を見て、明日屋外撮影なんだけど、降水確率80%だからとドヤ顔で。


『久しぶりのオフ?』

『んーん。昼過ぎからラジオ収録あってそのあと撮影して振り入れがある。』

『ハードじゃん』

『まあ有難いことだよねー』

『うん。』


そういうと朔は、笑いながらお風呂借りていい?という。

だから私はいつものように着替えとバスタオルを渡した。






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