SS.
□real
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-今週の金曜日の夜ホテルいかない?-
週始めの月曜日
彼氏から連絡が来た。
土曜日のデートを乗り越えてやっと気持ちが解放されたと思ったら次の愛瀬の連絡で。
これが大好きな人なら
私は幸せなのに。
『 朔、金曜日同期で飲み会しようっていってるけどいく?』
『あ、理佐。ごめん。金曜日は先約があって。』
『あ、彼?』
『まあそんなとこ。』
『じゃあ私も行くのやめよ』
『え。』
『いいのいいの、じゃまた昼休みにね』
社会人2年目、仕事もやっと分かってきて後輩もできた。会社ではちょっと良いルックスのおかげで2年目といえどチヤホヤされるし、プライベートも大学時代の先輩の商社マンの彼もいて、絵に描いたような順風満帆さ。
だけど
私は幸せにはなれないらしい。
『なにかあったの?』
『え?』
いつものように理佐とランチをする。
内定者として出会って、私は理佐に一目惚れした。
けれど、まあ別に彼氏もいて、これは女子校時代の錯覚だと思ってきづかないふりをしていた。
仲良くなりたいという気持ちは変わらずで、そして理佐も、私が目に留まったんだと言ってくれてそこからよく2人でつるむようになった。
部署は違うけれどいつもお昼は2人で食べるようにしていて、まさか会社でこんなに仲良い人に出会えるとは思っていなかった。
『なんかだるそう。』
『なんかさー。彼氏に冷めちゃってるというか。』
『そうなの?』
あくまで冷静に話を聞いてくれる理佐には私はなんでも喋れてしまう。私は多分理佐のことが好きだけど。
そして最近の違和感を話す。
彼氏からの電話がめんどうなこと、メールで甘えられたくはないこと、毎週会うのが義務化していること。
つらつらと話していくと、理佐は乾いた笑いを浮かべる。
『朔はさー、なんで付き合ってるの?』
『ええ?』
『微塵も好きな気持ちがないよね?』
ああ、そうなんだ。
やっぱりそうだよね。
『んー好きだよ?あんないい人いないし。』
人間として尊敬できるし、頭も顔もいいし、優しい。本当にそう。周りからは美男美女だと言われたり、それなりに私も自分磨きを頑張ろうと思える相手だ。
『まあいいけどさ。後悔しないでね。』
『後悔は、、しないよ。』
理佐はそう言ってお弁当に目線を落とす。
『そういえば理佐はどうなの最近。』
『別に何にもないよ。』
『ほんと?』
理佐は美人だ。部の先輩が理佐を狙ってるって言う噂も聞くし。
現に理佐の後ろの席の先輩2人もこっちをチラチラ伺ってる。
けれど、私が出会ってからずっと彼氏とかいなくて、仕事終わりは私とご飯に行かなければ家に帰って寝てるなんていう。
最初の方は、言ってくれないだけでいるんだろうと思っていたけど、どうやら理佐の言うことは本当らしかった。
『はあーなんかいいことないかな。』
『よくいうよ。朔は何でも持ってるじゃん。きっと周りの人から羨ましがられる人間だよ?』
フロアに帰りながら理佐はそう笑う。
私は何も持っていないのにね。
-あの、、渡邊さんと楼名さんですよね。隣の部署のものなんですけど、、、-
ほらきた。
理佐との会話の切れ目に、先程からこっちをチラチラ見ていた男の人2人に声をかけられる。
部署間親睦会を若手でやりませんか?なんていう。
これが私の望むいいことな訳もなくて、私は理佐を見ると同じような目をしてこっちを見つめてた。
『じゃあうちの部署の若手にも言っておきますね。人が集まりそうならご連絡しますよ』
なんて言葉が私の口からは出ていて、こういうことではないんだよなあと思って、急いでフロアにかえった。
『理佐の真顔怖い』
『朔の顔の方がやばかったから。』
『お互い様だね。』
『ね。』
そう言ってじゃあまた明日ねと別れる。
毎日のこの1時間が私はストレスのない空間で、大好きだった。
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