SS.
□好きってなんだ
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your side
収録中、まったく集中もできない、
愛佳といえば、泣き顔のまま参加していて、明らかに元気もない。
あーー泣かせちゃった。
泣き顔が放映されるとまた愛佳はいろいろファンに言われちゃうんだろう。
強気に見せて繊細な愛佳を守りたいと思ってるのにまったく別のことをしてしまう自分に腹がたつ。
『朔ちゃん暗い顔しないで?』
『梨加。ごめん。愛佳のこと気になっちゃって。』
収録中なのにひな壇で隣になった梨加に小声で声をかけられて。自分のひどい顔に気づく。
『ふふ。愛佳ちゃんも朔ちゃんのこと大好きだから大丈夫だよ。』
『そーかなあー。もはや自信がないんだけどさ。』
-こらーそこ!梨加 朔収録中にお喋りしない!-
-ほんっとなめてんなーー笑-
私と梨加は土田さんにいじられて、私も強制的に笑顔にされる。
-てかなに。朔って志田と喧嘩でもしてんの?-
『え?、なんで』
澤部さんにいじられて私は焦って答えてしまい、また愛佳にちらっと見られた。
-お前と梨加の声マイクに入ってんだよ!-
『『………。』』
-いやいや、がちだなぁ!-
私は梨加と同じ顔で目の前を向いてたら、そのままいじられてその収録が終わった。
-
はあー。なんでこうなるんだろう。
帰り際最後になっちゃってバスに行くと愛佳の隣しか空いてなかった。
しょうがなく座ろうとすると、メンバーみんなからの視線を感じて、
そう言うことかと納得した。
『隣いい?』
『うん。』
一応声をかけて隣に腰掛ける。
そのまま無言で愛佳はイヤホンをつけて音楽を聴き始めた。
だけど、私は今日の問題は今日解決したいタイプだし。そう思って愛佳の左耳のイヤホンを引っ張った。
『っなに。』
イヤホンを取ると、顔をしかめてこっちを見てて。
『無視すんなよ〜』
おどけて言ってみるけど、愛佳はピクリとも表情を変えない。
『どうしたの。』
『こら。そんな顔しないの。可愛い顔が台無しだよ。』
これはまじめに。
愛佳は可愛いんだからしかめ面は似合わない。
愛佳は観念したのか音楽を止めてくれる。
『で、なんなの。』
『話あるんだけど。多分いまメンバーに聞き耳を立てられてるから、あとで部屋行っていい?』
そういうと愛佳は周りを見渡して、オダナナを睨みつけた。
『……わかった。』
『こら。睨まないの。』
『朔うざい。』
『うざくてもいいよ。』
そこから愛佳はまた音楽を聴こうとするから今度は片耳だけイヤホンを借りて私はよくわかんない愛佳の好きなバンドを聞いた。
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