02/19の日記

00:02
オリジナル
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すんません(´・ω・`)書きたくなったんだけど置いとくところがなかったのでここに…

TwitterのRTで来た心理テストをやってみた

で。別に心理テスト云々じゃなくてお題使ってSS書きたかっただけ〜


「bianco」
私は鍵を持った兎を追いかけて橋を渡った。



そこは水だった。
足元は踝くらいまで水が満ちていた。水平線まで何も障害物は見えない。端が少しカーブしていて嗚呼、ここ球体なんだと視覚にうったえる。空は頭上が蒼。そこから水平線に向かって白へのグラデーション。綺麗だ。綺麗な夢の世界。だってこんなことは地上では見られない。第一太陽があるわけでもないのに明るく暖かい。癒されていると

ぽちゃん。ちゃぽぽぽぽ。

と背後で水音がする。さっきまで何もないはずだったのに。何が在るのだろうと振り返ると一羽の兎。
真っ白なふわふわの兎。私の向いていた方向とは逆に跳ねて行ってしまうところだったのだけれどもふと兎は振り返って私の目を見た。紅い吸い込まれそうなつぶらな瞳。そのとき私は兎の首にチェーンで鍵が下がっているのに気が付いた。その鍵は今どき見ない形をしていた。ちょうどウォード鍵のような複雑な形で持ち手は凝った透かしだった。刹那見つめあっていただけで再び兎は跳ねて行ってしまう。私の脳内は追い掛けろと命令している。ふらりと体が動き兎を追いかける。二足歩行の私とは違いそんなに速くは進めない兎を小走り程度の速度で追う。
兎だけを見つめていたので気が付かなかったのか急に目の前を川が走る。足元にも水があるのに変だな…しかも船もない。ここで行き止まりなのかと立ち竦んでいると兎は速度を落とさずそのまま川へ向かってジャンプした。
瞬間、橋が出現した。兎は川に落ちることもなく橋を渡っている。不思議なことに向こう岸はさっきまで晴れていたのに橋から望むと霧に覆われてわからない。何かあるのかもしれない。
恐る恐る私も橋へ一歩踏み出した。
消えることもなく私の体重を支えてくれているようで詰めていた息を吐き出す。兎は橋の上で止まって此方を振り返って見ている。まるで私が来るのを待っているように。
私が二歩、三歩と歩き出すと兎も進み出す。
先へ歩けば歩くほど霧が深くなり何も見えなくなる。兎ももう見えない。足音は聞こえているので前にはいてくれているのは分かる。
このまま延々に橋は続くのだろうか。いや、川にも終わりはあるのだ絶対に橋は終わり対岸に着くだろう。そのときに私は。私はーー

本当はわかっていた。全て知っていた。


end.

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