長編番外編

□お日様
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「――― トゥエ レィ ズェ クロア リョオ トゥエ ズェ ――   」


首都グランコクマのとある邸宅の庭に心地よい譜歌が流れる。
それは透き通るような声色、朝日が池の水面に照らされた美しい景色である。


小鳥のように奏でる少女の後姿はどこか神秘的に見える。




「―― ナズナ」



ふわりと彼女が振り返れば赤と蒼の瞳とぶつかる。自分と同じ赤でも彼女の赤のガラスには闇が無い。
けれどどこか悲しい色なのは同じ。



「そろそろ部屋に入ったらどうです?陛下もお待ちですよ」


コクリと首を縦に振り、黄金のような色合いの髪と質素な服をなびかせ駆け寄る。
そっと伸ばした手を握り返す。

ただでさえ自分と11年もの時間が空いている彼女の小さな手は、包むだけで年齢差を感じさせられる。



けれどその不安な闇もこの子の存在――否、太陽のような笑みが消してくれる。











どうかこの笑顔(ソンザイ)がいつの日も絶えませぬように…――





長編開始時より10年ほど前の話

 

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